平成30年は“副業元年”!?

平成30年は“副業元年”!?
新年、最初のニュースアップは、ことし、大きく動きそうなテーマを取り上げます。「もう1つの仕事は何ですか?」。そんなやり取りが当たり前に行われる日が来るかもしれません。働き方改革の一環として政府が「原則、副業・兼業を認める方向で普及促進を図る」と旗を振る中、平成30年は、「副業元年」になるとも言われています。その一方、昨年末には、「副業」の推進に“待った”をかけるかのような発言も飛び出し波紋を広げています。副業や兼業の動きは広がるのか、探りました。(ネットワーク報道部記者 佐藤滋)
働き方改革を推進する政府。副業や兼業は、大きな柱の1つとなっています。「柔軟な働き方」をしやすくするためです。これを受けて厚生労働省が有識者による検討会を設置させ、議論を加速させてきました。こうした動きはことし、平成30年に本格化します。年明け早々には副業や兼業の促進についてガイドラインをまとめるほか、多くの企業が参考にする「モデル就業規則」の改定が行われます。本腰を入れる政府の動きをとらえ、関係者はことしを「副業元年」と位置づけているのです。

政府は本腰

働き方改革を推進する政府。副業や兼業は、大きな柱の1つとなっています。「柔軟な働き方」をしやすくするためです。これを受けて厚生労働省が有識者による検討会を設置させ、議論を加速させてきました。こうした動きはことし、平成30年に本格化します。年明け早々には副業や兼業の促進についてガイドラインをまとめるほか、多くの企業が参考にする「モデル就業規則」の改定が行われます。本腰を入れる政府の動きをとらえ、関係者はことしを「副業元年」と位置づけているのです。

企業も次々と

すでに動き始めている企業もあります。

3か月ほど前の去年10月、大手IT企業のDeNAと、携帯電話大手のソフトバンクが相次いで、副業を許可すると発表しました。

競合他社で働くことや、労働時間が多くなることなど本業に影響を与えないことが条件ですが、狙いはいずれも「副業で得た知識やノウハウを本業に生かす」ことです。
これまでにDeNAでは、IT関連の会社を起こしたりベンチャー企業をサポートしたりといった副業で30人近い社員が、ソフトバンクでは、新しいアプリの開発や、大学での非常勤講師などの副業におよそ100人の社員が認められたということで、いずれも「社員の関心が高い」としています。副業での経験が本業での技術革新につながることを期待しているのです。

若手社員“スキルアップ”したい

社員、特にこれから会社の中で中核を担う若手や中堅は副業や兼業について、どう考えているのか。トヨタ自動車やパナソニック、NTTグループなど大手企業の若手社員などでつくる団体、「OneJAPAN」は1600人余りに意識調査を行いました。
その結果、現在、副業や兼業をしている人は6%に満たなかった一方で、「興味がある」と答えた人がおよそ75%に上りました。その理由としては「収入を得たい」よりも「スキルアップ」を求める傾向が強かったということです。

「OneJAPAN」の担当者は「本業で担当している仕事がいつなくなってもおかしくない、という『不確実性』が高い時代で、若手や中堅の社員は、武者修行をして本業でイノベーションを起こしたいという気持ちが強いと見られる。また、本業では管理職になるまでまだ年数を要するが、副業のベンチャー企業などでチームリーダーとしての経験を身につけて、将来、本業に生かす『仮想管理職』を求める傾向もあるのではないか」と分析しています。

経団連“推奨しない”

ところが副業への動きが活発化してきた昨年末、経済団体のトップのある発言が波紋を広げました。

「いろいろな課題があるので経団連としては旗振り役をする立場にはない」。

経団連の榊原会長が「副業・兼業は社員の能力開発というポジティブな側面もあるが、一方で、パフォーマンスの低下や情報漏えいのリスク、両方を合わせた総労働時間の管理のしかたなど課題が多い」として「各社の判断でやるのは自由」としながらも、推奨できないという考えを明らかにしたのです。

“先進企業には優秀な人材集まる”

この発言について専門家に見解を聞きました。

リクルートワークス研究所の萩原牧子主任研究員は、「企業側からすると、副業・兼業のメリットを感じられるかどうか会社ごとに見方が異なるため、一律に推奨することは避けたのではないでしょうか」と推察しています。

背景には、労働時間の通算のしかたなど、今の法律が複数の企業に雇用されることを前提としていないことや、そもそも、「今のルールがわからないから認められない」という企業の声も多いと指摘しています。

また、萩原主任研究員は「隠れ副業化」という課題もあるといいます。副業・兼業を禁止する企業が依然として多い中、隠れて副業を行う社員がすでに一定数いると見られています。

“隠れ副業”となると、健康管理に問題が生じるなどといった課題もあり「企業は副業や兼業を認めて生かす発想を持つべきだ」と指摘しています。

そのうえで平成30年が「副業元年」となるかどうかは「すべてが、一気に広がるとまではいかないかもしれませんが議論は加速すると思います。先に進む企業と進まない企業に差が生まれれば、先進的な企業には『柔軟な働き方ができる』として優秀な人材が集まっていくのではないでしょうか」と予測しています。

制度面の整備を

取材を通して感じたのは、“副業元年”の言葉どおりまさに「元年」としてスタートラインに立ったばかり、と言うことでした。ただ、副業を認める動きは企業にとどまらず、地方自治体にも広がりつつあり、成功例が増えれば、官民問わず、「これから副業に行ってきます」という人が、当たり前になる日も来るかもしれません。人手不足が進む中、1人の人がさまざまな場所で活躍する場が増えることは望ましいことだと思いますが、それに伴う、制度面での整備が求められる1年にもなりそうです。