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7月12日のニュース

福島 南相馬の避難指示 大部分が解除

東京電力福島第一原発の事故で福島県南相馬市に出されている避難指示の大部分が12日午前0時に解除されました。原発事故に伴う避難指示の解除は5例目で、対象の住民は1万人を超え、これまで解除された自治体の中で最大です。
福島県では、原発事故から5年4か月となる今も8つの市町村に避難指示が出され9万人近くが県内や県外で避難生活を続けています。
このうち、南相馬市の小高区の全域と原町区の一部に出されている避難指示について、政府は、宅地やその周辺の除染が終わり生活環境が整ったとして、放射線量が比較的高く1世帯がある「帰還困難区域」を除いて12日午前0時に解除しました。
原発事故に伴う避難指示の解除は、田村市と川内村、楢葉町、葛尾村に続いて、自治体としては5例目です。避難指示解除の対象となる住民はおよそ1万800人で、これまでの自治体の中で最大です。
市によりますと、帰還に向けた生活再建のため避難指示区域に宿泊できる「準備宿泊」を登録している人は、2000人余りとなっています。
南相馬市は、放射線への不安の解消のほか医療・福祉や交通網の充実、商業施設の誘致などを進めていますが、原発事故で急速に進んだ若い世代を含む人口減少と高齢化への対応が課題となっています。
南相馬市が5例目
原発事故に伴う避難指示が解除された自治体は南相馬市が5例目です。福島県では避難指示の解除が続いていますが、放射線や生活環境への不安などから戻らない人も多く、生活基盤の整備のほか原発事故で急速に進む人口の減少や高齢化への対応が課題となっています。
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、福島県内では多いときで11の自治体に避難指示が出されていましたが、おととし4月に田村市都路地区で初めて解除されたのに続き、おととし10月には川内村の一部の地区で解除されました。
さらに、去年9月には楢葉町で役場とすべての住民が避難していた自治体としては初めて解除され、その後、ことし6月には、すべての住民が避難していた葛尾村の大部分で解除され、そして川内村の一部に残っていた避難指示も解除されました。
今回、南相馬市では、小高区の全域と原町区の一部に出されている避難指示が、放射線量が比較的高い「帰還困難区域」を除いて解除され、自治体としては5例目の解除となりました。
今回、避難指示解除の対象となる南相馬市の住民はおよそ1万800人で、これまで解除された自治体の中では最大です。
政府は、原発事故による福島県内の避難指示を「帰還困難区域」を除いて来年3月までに解除するとの指針を閣議決定していて、このうち飯舘村では、来年3月31日の解除が決まっています。
避難指示の解除が進む一方、福島県では、今も9万人近くが避難を続けていて、放射線や生活環境への不安などからふるさとに戻らない住民も多いのが現状です。
震災と原発事故から5年4か月がたった今も、福島県では大きな被害を受けた生活基盤の整備のほか、急速に進んだ若い世代を含む人口の減少や高齢化への対応など多くの課題が残されています。
放射線への不安の解消が課題
今回、南相馬市で避難指示が解除された区域では飲食店や病院などが一部ですでに再開していますが、学校や店舗など閉鎖したままの施設もあるほか宅地以外の除染も終わっておらず、住民の帰還に向け、今後も生活環境の充実や放射線への不安の解消が課題となります。
福島県の沿岸部にある南相馬市は人口6万2000余りで、原発事故の影響で市内の3つの区のうち福島第一原発に近い小高区の全域と、市の中心部がある原町区の一部に避難指示が出されていました。
避難指示解除の対象の住民はおよそ1万800人で、このうち半数を超える5800人余りが市内の避難指示のない区域に避難しています。
多くの住民が比較的近い市内に避難していることもあり、今回、解除された区域では、住民の出入りもあって飲食店や病院、仮設のスーパーなどがすでに再開しているところもあります。
一方で、震災以降、閉鎖したままの商業施設や店舗もあるほか、幼稚園や小中学校、高校の再開は来年4月となっていて住民が安心して生活できる環境の整備にはまだ課題が残されています。
また、除染は、住宅やその周辺では終わったものの、農地や道路などではまだ続いていて、放射線への不安を訴える人も少なくありません。
市では去年1月から3月にかけて避難者の大半を占める小高区の住民に意向調査を行った結果、回答した8314人のうち小高区に「戻る」と答えたのは1141人で、率にして13%余りでした。
また、帰還に向けた生活再建のため避難指示区域に宿泊できる「準備宿泊」を登録している人は今月10日時点で2006人と、避難指示解除の対象者の18%余りとなっています。
市によりますと、帰還を望む人のほとんどは中高年や高齢者の世代で、今後も医療や介護、商業施設などの生活環境を充実させるとともに、放射線への不安を解消して若者や子育て世代をどう呼び戻すかが課題となります。

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