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3月9日のニュース

原発賠償 未請求世帯は35%

東京電力福島第一原子力発電所の事故から1年、賠償の基準に納得がいかないなどとして、今も請求をしていない世帯は全体の35%に上っています。
避難の長期化で生活再建が大きな課題となるなか、請求漏れを減らし、多くの被害者が納得する賠償に近づけることができるか、東京電力や支援をする国の対応が問われています。
福島第一原発の事故の賠償では、国の審査会が賠償の対象となる損害の範囲などを指針にまとめ、それに基づいて東京電力が具体的な基準を作り、去年9月から本格的に請求を受け付けています。
東京電力によりますと、このうち個人の賠償では、請求書を送ったおよそ6万4000世帯のうち、実際に請求したのは、先月24日現在で、4万1500世帯にとどまり、事故から1年になる今も35%が請求していません。
請求しない理由について、被害者側は、高齢者を中心に請求の煩雑さや、東京電力が示した賠償金額や基準に納得ができないことなどを挙げていて、請求漏れをいかに減らすかが喫緊の課題となっています。
一方、避難の長期化に伴って、大きな問題となっているのが生活の再建です。
これまでの賠償は、避難生活でかかった宿泊費や事実上の生活費など、いわゆる当座の費用を賄うという形でした。
しかし、避難が長引き、自宅にいつ戻れるか分からない状況の中で、被害者の中には「自宅に帰るのをあきらめ、新たな土地で生活を再建したい」と希望する人も多く、まとまった金額での賠償を求める声が強まっています。
これについて、賠償の指針を作っている国の審査会は、政府が今月末にも行う避難区域の見直しにあわせて、長期間、帰宅が困難な区域の不動産を事故直前の価格の全額で賠償することや、精神的な損害への賠償金を少なくとも5年分を一括で支払うことなどを盛り込んだ新たな指針をまとめる方針です。
東京電力は指針を受けて、来月賠償額の計算の元になる算定基準を公表する方針ですが、被害者が納得する内容になるかどうかは不透明で、東京電力や支援をする国の対応が問われることになります。
今後の賠償に向けて、東京電力は「1年間の賠償業務で明らかになった課題を改善し、これまで以上に賠償を加速させたい」と話しています。

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