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3月5日のニュース

“餓死” 再発は防止できるか

東京電力福島第一原子力発電所の事故で設定された福島県の避難区域内で、自宅などに取り残されて餓死した疑いの強い人がいることがNHKの取材で分かりました。
これについて、避難指示の決定に関わった国の原子力安全・保安院は「防災関係機関や住民に対して適切に情報提供できる体制を整備するなど、これまでの対応の見直しを検討していきたい」としています。
【避難指示と混乱】
政府は、震災が発生した去年3月11日の夜から翌12日の夜にかけて、原発から3キロ圏内の住民に避難指示を出したのに続いて、10キロ、そして20キロと、立て続けに避難指示を出しました。
しかし、原発からおよそ5キロの場所にあり、事故が起きた際は関係者が集まり、避難などの対策を行う拠点施設「オフサイトセンター」は、停電や通信機器の不調などでほとんど機能せず、地震や津波への対応で自治体などの職員も集まれなかったため、政府と地元自治体との間で避難する住民の情報が共有されませんでした。
その結果、自治体によってはテレビを通じて、突然、避難指示を知ることになり、通信手段が限られるなか、急きょ、移動手段や避難場所の確保を迫られ、多くの住民たちも、限られた情報のなかで避難が混乱しました。
NHKの取材では、避難を余儀なくされた避難区域の病院や高齢者施設で、患者や入所者らが長時間の避難の途中や直後に体調が悪化するなどして少なくとも68人が亡くなっています。
一方、地元の警察や消防、それに消防団は、震災直後から津波の被害を受けた現場で救助活動を続けていましたが、避難指示が出たことで本格的な捜索をいったん打ち切りました。
その理由について、警察や消防では、原発の状況が悪化し避難区域内の放射線量の状況が把握できなかったことや、避難する住民の被ばくを防ぐために避難誘導を優先したため捜索に十分な人員を割けなかったことなどを挙げています。
警察や消防、それに自衛隊や地元の自治体も避難区域に取り残された人がいないか確認作業を進めましたが、警察や消防による避難区域での本格的な捜索はおよそ1か月間、十分には行われませんでした。
こうした教訓を踏まえて、現在、国の原子力安全委員会の作業部会が防災指針の見直しを進めており、原子力事故に備えた防災対策を重点的に整備する地域を、これまで原発から最大で10キロとしていましたが、おおむね30キロに見直すほか、オフサイトセンターの機能を、県庁など原発から十分に離れた場所に設ける「中枢」を担う拠点と原発から遠くない場所に設ける避難誘導などの活動拠点の2か所に分けるとするなどの案が検討されています。
この方針は、新しくできる原子力規制庁に引き継がれ、避難や救助の在り方について検討される見通しです。
【原子力・安全保安院は】
避難区域内に取り残され餓死した疑いが強い人が複数いることについて、避難指示の決定に関わった国の原子力安全・保安院は「今回の事故に伴う避難活動に関しては、さまざまな課題があったものと認識している」としたうえで、「今後、市町村が原子力事故に関する避難計画を策定する際には、避難が確実に行われたかを確認する手順や、避難に支援が必要な方への対応も含めた実施手順を示したり、防災関係機関や住民に対して避難について適切に情報提供できる体制を整備したりするなど、これまでの対応の見直しを検討していきたい」としています。

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