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1月19日のニュース

格納容器内部を内視鏡で調査

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東京電力福島第一原子力発電所で、19日、内視鏡を使って2号機の格納容器の内部の状況を調べたところ、壁や配管の一部は撮影できたものの、放射線や汚染水による湯気の影響で画像が不鮮明になるなど、詳しい状況は確認できませんでした。
福島第一原発では、メルトダウンが起きた1号機から3号機の溶け落ちた燃料の状態や、格納容器の内部の詳しい状態が分かっておらず、今後の燃料の取り出しや安定した冷却を続けるうえで、大きな課題となっています。
このため東京電力は、19日午前、2号機の格納容器の貫通部から放射線に耐えられる工業用の内視鏡を中に入れて、事故のあと初めて、格納容器の内部の状況や温度を調べました。
その結果、撮影された写真には、格納容器の内部の壁や設置された配管の一部が写っていました。
しかし、写真の画像は不鮮明で、放射線の影響で白い斑点が多数写っていたほか、汚染水の湯気による水滴の影響とみられています。
また、19日の調査では、今後の廃炉の作業に向けて、格納容器の水漏れが起きている場所に近いとみられる汚染水の水面を確認するのが目的の1つでしたが、水面は予想より水位が低く内視鏡で撮影できず、詳しい状況は分かりませんでした。
写真を分析した東京電力は、写っている内部の壁や配管などに大きな破損や変形はなかったと説明しています。
一方で、今回初めて、直接、測定された格納容器の内部の温度は44.7度で、これまで計測されている格納容器の周辺に設置された温度計が42.6度だったことから、温度計に大きな誤差はないとしています。
福島第一原発では、今後の廃炉の作業に向けて、格納容器の内部の状態を把握することが不可欠ですが、19日の内視鏡を使った調査は課題を残す結果となりました。
東京電力の松本純一本部長代理は、「今回の撮影の目的は一応達成できて、温度の確認もできたのは大きな成果だが、内部に放射性物質が大量にあるため、放射線の一種、ガンマ線の影響が大きく、また水滴の影響でほとんど視界が効かなかった。今後、別の装置も使えないか検討を進めたい」と話しています。

原子炉工学が専門の東京工業大学の二ノ方壽教授は、内視鏡で撮影された写真を見て「格納容器の中の装置類が思ったよりも写し出されている。写真を見るかぎり、配管や壁に大きな破損は見られない」と話しています。
また、温度が計測されたことについて「直接測った内部の温度が40度余りだったということは、溶けた燃料はそれなりに低い温度を保っているということが改めて確認できた」としています。
そのうえで、水面を確認できなかったことについて、「水面の位置を確認することは格納容器の破損の位置や大きさなどを知るために必要なだけに残念な結果だ。格納容器の中は温度が下がったとしても水蒸気が立ちこめる状態であるし、光の限界もあって今回は難しかったと思われるが、今後はさらに内部を見るための技術的な工夫やカメラ開発に力を入れて、少しでも内部の様子をつかんでいくことが重要だ」と話しています。

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