東京電力 福島第一原発事故 関連ニュース

12月26日のニュース

非常用冷却装置への認識不足指摘

政府の事故調査・検証委員会が26日に公表した中間報告では、東京電力の事故後の対応について、1号機と3号機で非常用の冷却装置への認識不足や、情報共有の不備があり、原子炉の冷却の遅れにつながったとして極めて不適切だったと批判しています。
中間報告では、福島第一原発の各原子炉が津波によってほぼすべての電源を失い、冷却ができなくなった経緯を現場の運転員や対策本部の聞き取りを基に詳しく検証しています。
このうち1号機では、電源が失われても蒸気を利用して原子炉を冷却する「非常用復水器」という装置について、運転員や対策本部、それに本店の社員も、電源が失われた際に安全確保のためいったん停止する仕組みを十分理解していなかったとしています。
このため対策本部は、3月11日の事故のあと装置が機能不全に陥っていたのに、深夜まで、動いていると誤って認識し、これによって消防車で原子炉に注水することや格納容器の圧力を抜く「ベント」の作業が大幅に遅れたと指摘しています。
こうした対応について中間報告では「原子力事業者として極めて不適切だった」と厳しく批判しています。
また3号機では13日未明に、バッテリーで動いていた「高圧注水系」という冷却装置を停止し、ポンプで原子炉に注水しようとしましたが、注水できるよう原子炉の圧力を抜くための弁がバッテリー不足で開かず、原子炉の冷却が7時間近く中断したとしています。
これについて中間報告では「運転員と対策本部の一部のスタッフが幹部社員の指示を仰がずに行ったもので、情報共有に不備があり、極めて遺憾だ」としています。
そのうえで1号機、3号機共に早い段階で消防車による注水に切り替えていれば「燃料の損傷を緩和し、放射性物質の放出量も少なくなった可能性がある」と指摘しています。
これに対して東京電力は「3号機では、冷却装置が止まれば消防車による注水に切り替えることは、事前に所長を含めた対策本部で確認されていた」と中間報告と異なる見解を示しています。
一方、地震で原発の重要な機器が損傷した可能性について、中間報告では、これまでの調査では確認できていないとしたうえで、最終的な判断は原発内部が確認できるまで待たなければならないとしています。

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