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11月9日のニュース

報告書“原子炉解体まで30年以上”

東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた工程を検討してきた、国の原子力委員会は、溶け落ちた燃料を取り出し、原子炉を解体するまでに、30年以上かかるとした報告書をまとめました。
報告書では、海外の研究機関との連携や、原発の近くに廃炉を研究する施設を設けることなども提言しました。
原子力委員会の専門部会は、福島第一原発の廃炉に向けた工程について、ことし8月から議論を重ね、9日の会合で報告書をまとめました。
それによりますと、1号機から4号機の燃料プールに保管している使用済み燃料は、事故の収束に向けた工程表のステップ2が終了してから3年以内を目標に取り出しを始め、敷地にある共用のプールに移す方針です。
また、1号機から3号機のメルトダウンで溶け落ちた燃料は、壊れた格納容器を修理したうえで、放射線を遮るために水で満たし、10年以内を目標に取り出す作業を始めることにしています。
こうした工程は、32年前にアメリカ・スリーマイル島にある原発で起きた事故の対応を参考にしましたが、福島第一原発では3基が同時にメルトダウンを起こすなど、より深刻で、燃料を取り出し終えて、原子炉を解体し、さら地にするまで、30年以上かかるとしています。
報告書では、世界的にも例のない作業を進めるため、政府や東京電力で作る推進本部を新たに設置し、海外の研究機関との連携を進めることや、原発の近くに、取り出した燃料や廃棄物を調べる研究施設を設置することなども提言しました。
報告書は、今後、国民からの意見を募ったうえで、年内に正式にまとめられます。
原子力委員会の専門部会の部会長を務める京都大学の山名元教授は、「報告書では国や東京電力、それにメーカーが連携するために提言ができたと評価している。廃炉が終わるまで30年以上かかるという見通しはあるが、実際に現場の状況がどうなっているかを見ないと何とも言えないので、調査をして判断をしながら工程を進めていくこと」と話しています。
報告書で示された工程では、▽まず、原子炉建屋内で放射性物質を取り除いたあと、格納容器の壊れている部分を探して修理し、▽続いて、格納容器の中に水を張り、カメラで燃料の状態を調べ、▽最後に、遠隔操作のロボットで燃料を取り出す予定です。
福島第一原発の廃炉の工程は、同じくメルトダウンを起こしたアメリカ・スリーマイル島原発事故よりも長期にわたっています。
32年前の1979年に起きたスリーマイル島原発事故では、福島第一原発と同じように核燃料が溶け落ちる「メルトダウン」が起き、燃料のおよそ70%が溶けて、一部が原子炉の底に落下しました。
溶けた燃料の取り出し作業が始まったのは事故発生から6年後、作業を終えたのは11年後でした。
これに対し福島第一原発では、溶けた燃料の取り出しを始めるのは10年以内を目標とし、その後、原子炉を解体してさら地にするまで30年以上かかるとしています。
スリーマイル島原発よりも時間がかかる理由は、福島第一原発では3基が同時にメルトダウンを起こしたうえ、原子炉だけでなく格納容器も壊れるなど、より深刻なためです。
原子炉の外に燃料が漏れ出すという深刻な事故を起こした原発を完全に撤去し、さら地に戻すことは、国際的にも経験がないうえ、福島第一原発では、使用済み燃料プールも含め、1号機から4号機まで作業を同時に行わなければならず、廃炉の作業がすべて終わるまでの見通しは不透明なままです。

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