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11月2日のニュース

キセノン検出 専門家の見解は

福島第一原発2号機の格納容器から核燃料が分裂したときに出来る放射性物質のキセノンが検出されたことについて、原子力が専門の東京大学大学院の岡本孝司教授は「現在の2号機は、核燃料が溶け落ちて燃料の一部が格納容器にも散乱していると考えられるが、燃料のウランが原子炉内外にある放射性物質から出る中性子と反応して、局所的、一時的に核分裂反応が起きる可能性は十分に考えられる。また、水や燃料の条件が整って核分裂反応が連続的に起きる『臨界』になる可能性も否定できないが、燃料が散乱している状態では、臨界しやすい条件を維持するのは難しく、一時的だと考えられる」と話しています。
そのうえで「どのくらいの規模で核分裂が続いたかは、発生したキセノンの種類と量、それに半減期を基に計算して調べないと分からない。ただ、1号機や3号機でも同様の反応が起こりうるので、格納容器内の気体を分析すると共に、原子炉周辺の中性子を測定し、核分裂反応を抑えるホウ酸水を注入する必要がある」と指摘しています。
また、国や東京電力が原子炉が安定的に冷却できている冷温停止状態を年内に達成しようとしていることへの影響については「冷温停止状態は、核分裂反応が止まり、再び反応が起きないよう制御できている状態なので、今後、ホウ酸水の注入で核分裂反応が抑えられる状態にできるかどうかにかかっている」と話しています。
一方、原発の安全問題について調査研究をしているNPO法人「原子力資料情報室」の伴英幸事務局長は「今の原子炉の温度や圧力などのデータをみると、核分裂反応が連続的に起きる臨界が起きたとしても一時的、局所的な臨界であると思うが、こうしたことが起きること自体が、原子炉をコントロール下に置いていると言えないのではないか」と指摘しています。
そのうえで国や東京電力が原子炉が安定的に冷却できている冷温停止状態を年内に達成しようとしていることについて「高い放射線で原子炉の中を見ることはできず、限られたデータで推論していくしかない。それだけに、冷温停止状態の達成を急がずに、慎重に状況を見極めていくことが、結局、住民にも安心してもらえるのではないか」と話しています。

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