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10月24日のニュース

東電の原発事故時手順書 公開

福島第一原子力発電所の事故時の手順書を巡って、東京電力が知的財産の保護などを理由に公表を拒んでいた問題で、国の原子力安全・保安院は、法律に基づいて提出させた手順書の一部を公開しました。
手順書は個人名以外はすべて公開され、長時間にわたって電源が復旧しない事態が想定されていないなど、深刻な事故への想定の甘さが改めて浮き彫りになりました。
事故時の手順書を巡っては、衆議院の特別委員会が、事故の原因究明に必要だとして提出を求めましたが、東京電力は知的財産の保護やテロ対策を理由に、ほとんどを黒く塗りつぶして提出したため、経済産業省の原子力安全・保安院が今月、法律に基づいて原本を改めて提出させました。
24日に公開されたのは、このうち1号機の事故に関係するおよそ200ページ分です。
個人名が書かれた部分が黒塗りにされた以外は、すべて公開されています。
今回の事故では、津波でバッテリーや電源盤が水没して、一度にほとんどの電源が失われましたが、公開された手順書は、すべての電源が失われ、長時間復旧が進まない事態が想定されていません。
バッテリーなどの非常用の電源を使って、格納容器内の圧力を下げるベントや、消防車による注水に必要な弁の操作を行うことになっていて、深刻な事故への想定の甘さが改めて浮き彫りになりました。
手順書を巡っては、東京電力が知的財産の保護などを理由に2か月にわたって公表を拒んできましたが、公開に至った理由について、原子力安全・保安院は「今回の事故の重大性を考えると、事故原因の究明や今後の対策を検討するうえで広く公開することが必要だと判断した」としています。
東京電力福島第一原子力発電所の運転手順書が公開されるまでには、東京電力と国会や国の機関との間でおよそ2か月にわたってさまざまなやり取りが行われてきました。
福島第一原発の事故の調査を行っている衆議院の科学技術・イノベーション推進特別委員会が、最初に、東京電力に「事故時運転操作手順書」の提出を求めたのは8月26日でした。
これに対して東京電力は、先月2日、手順書の内容のほとんどを黒く塗りつぶして提出しました。
その理由について、内容に知的財産が含まれ、核物質をテロなどから守るためと説明しました。
その後、特別委員会は2回にわたって、深刻な事故で使う手順書も含めて提出を求めましたが、東京電力は、表紙と目次を3枚だけ示し、目次の大部分を黒く塗りつぶしていました。
このため特別委員会は、経済産業大臣に対して、法律に基づいて東京電力に原本のままでの提出を命じるよう求めました。
これを受けて、経済産業省の原子力安全・保安院は、先月27日、東京電力に1号機から3号機の事故の深刻度に応じて使い分ける3種類の手順書を、原本のまま提出するよう指示し、東京電力から提出を受けました。
提出に際して東京電力は、公開された場合、安全上の支障が出るなどとして、全体のおよそ5割、深刻な事故で使う手順書は9割を非開示にするよう求めました。
東京電力の主張と手順書の内容を精査して、原子力安全・保安院がどこまで手順書を公開するか注目されていました。
東京電力福島第一原子力発電所の事故時の運転マニュアルに当たる「事故時運転操作手順書」は、事故の進展や深刻度に応じて、3つの種類に分かれています。
まず「事象ベース」と呼ばれる手順書は、事故の際、基本となる対応が記されていて、原子炉が自動停止したあとの緊急時の冷却システムの操作手順などが示されています。
この中では、外部電源などが失われた際に非常用のバッテリーで冷却システムなどを動かし、8時間以内に外部電源などを復旧させることになっています。
2つ目は、「徴候ベース」と呼ばれる手順書で、原子炉の水位が下がるなど、計器の数値の変動などから事故が進展するおそれがある際の対応が記されています。
これは、昭和54年3月に起きたアメリカ・スリーマイル島原発事故を教訓に、運転員が、原子炉の水位などの数値からどのような異常が起きているかを把握して対応することで、事故の進展を防ぐために導入されたものです。
一方、これら2つの手順書で対応できない深刻な事故で使うのが「シビアアクシデント」の手順書です。
事故が進展して、炉心が損傷するおそれのある場合などに使われるもので、格納容器の気体を外部に放出する「ベント」や、消火用の配管を使って原子炉に注水する方法などが記されています。
今回の事故では、地震の直後は「事象ベース」と「徴候ベース」の手順書を使って対応していましたが、津波に襲われて電源が失われたあとは「シビアアクシデント」の手順書を使って事故の対応が進められました。
しかし、深刻な事故を想定したこの手順書でも、中央制御室で計器が表示され、冷却システムを動かす8時間分のバッテリーの確保や電源盤が使えることを前提にしています。
今回の事故のように、バッテリーや電源盤が水没して、一度にほとんどの電源が失われたうえ、電源の復旧が進まない事態は想定していませんでした。
今回の事故では、緊急時の冷却システムが止まっていくなか、電源の復旧が進まず、ベントや消防車による注水に必要な弁を開く操作も中央制御室からできない状況に陥りました。
このため、作業員が実際に現場に行って作業に当たりましたが、停電で暗闇の中、放射線量が高くなる厳しい環境の下での作業には時間がかかりました。
そして、原子炉の燃料の損傷が進み、原子炉建屋が水素爆発して大量の放射性物質の放出につながる事態となり、想定の甘さから深刻な事故で使う手順書が役に立たない結果となりました。

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