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9月29日のニュース

原子炉 すべて100度下回る

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  • 2号機
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東京電力福島第一原子力発電所では、2号機の原子炉周辺の温度が事故発生以来初めて100度を下回りました。
これで、1号機から3号機の原子炉の周辺温度がすべて100度を下回ったことになりますが、東京電力が目指す「冷温停止」の状態には、まだ、冷却のシステムを安定させることなどが必要です。
東京電力福島第一原発では、原子炉の温度が安定して100度を下回る「冷温停止」の状態に向けて冷却作業が続けられていますが、最後まで100度を超えていた2号機の原子炉の下部の温度も28日午後5時の時点で99.4度となり、3月の事故発生以来初めて100度を下回りました。
同じ箇所の温度は、28日夜から29日朝にかけて、いったん、僅かに100度を超えましたが、29日午前11時の時点では、再び99.7度と100度を下回っています。
2号機の原子炉下部の温度は、今月中旬まで、110度台半ばの高い温度が続いていましたが、冷却に使う水の量を増やすとともに、溶け落ちた核燃料の上からスプレーのように水をかける方式を取り入れた結果、温度は急速に下がりました。
そのほかの号機では、3月下旬におよそ400度を計測した1号機も、3号機と共に先月以降、100度を下回っていて、これですべての原子炉の周辺温度が100度を切ったことになります。
原子炉の「冷温停止」は、温度が継続的に100度を下回り、トラブルが起きても状態が安定していることなどが条件となることから、今回の温度の低下が即座に冷温停止に結びつくわけではありませんが、東京電力はこれまでの冷却作業の成果が出たものとみています。
東京電力の松本純一本部長代理は「原子炉が冷温停止したと考えるのは、まだ早いと感じている。今後は、冷却システムの信頼性を確保することが重要になる」と話しています。
1号機から3号機までの原子炉の周辺温度がすべて100度を下回ったことについて、東京大学大学院の岡本孝司教授は「現在、原子炉の温度が低下しているのは、汚染水の処理システムが順調に稼動し、水を継続的に注ぐことができるようになったことによるもので、大きな進歩だと思う」と評価しています。
その一方で、「100度というのはあくまで通過点にすぎず、万が一、地震や津波で冷却装置が止まっても、確実に燃料を冷やすことができるようにしなければならない。
核燃料はすでに、原子炉の外に漏れ出していることが想定されるうえ、一部は原子炉の中に残って発熱を続けていると考えられる。
今後はまず、シミュレーションを行って原子炉の中の状況を把握したうえ、最終的に、燃料が完全に水につかった状態にしなければならない」と指摘しています。

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