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9月10日のニュース

放射性物質の放出抑制 現状は

東京電力福島第一原子力発電所で、事故の収束とともに、避難している人たちの帰宅に向けて進めなければならないのが、外部に放出される放射性物質を抑えることです。
福島第一原発では、溶けた燃料から発生した放射性物質が原子炉や格納容器の壊れた部分から漏れ出したり、爆発などによってがれきに付着した放射性物資が環境に放出したりしています。
こうした放射性物質の放出を抑えることは、事故の収束とともに、避難している人たちの帰宅に向けて、警戒区域や計画的避難区域が解除されるために、欠かせないものとなります。
東京電力は、先月17日、原子炉建屋から新たに環境に放出されている放射性物質の量について、先月上旬までの2週間ほどで、1時間当たり最大で2億ベクレルと評価しました。
これは、放出量が最も多かった事故直後の3月15日に比べると、およそ1000万分の1に下がったとしています。
また、新たな放出による敷地境界付近の被ばく量は1年間で0.4ミリシーベルトで、一般の人の1年間の被ばく量の限度とされる1ミリシーベルトを下回るとしています。
しかし東京電力は、この評価は実際にはより少ない可能性があるとして、空気中の放射性物質を測定する時間や場所を増やすなどして、今月中旬に予定されている工程表の見直しで、新たな放出量を公表する計画です。
東京電力は、原子炉建屋から放出される放射性物質を抑える対策として、1号機では6月下旬から原子炉を覆うカバーの設置工事が進められていて、今月末の完成を目指しています。
また、3号機と4号機では、原子炉建屋の爆発で屋上部分に散乱したがれきを、今月から大型の重機を使って撤去するための工事を始め、来年の夏ごろまでに終える計画です。
さらに、1号機から3号機では、原子炉を覆っている格納容器にたまっている放射性物質を含む気体を抜き出したうえで、放射性セシウムなどをフィルターで取り除くことも検討されています。
一方、海への放射性物質の放出を防ぐ対策として、鉱物で海水を浄化する装置の設置などが行われているほか、1号機から4号機の取水口を囲む形で海を埋め立てて、長さ22メートルの鉄製の遮水壁を設置する作業を年内にも始めて、およそ2年後の完成を目指すことにしています。
海洋汚染を巡っては、海に流れ出した放射性物質の量をモニタリング調査などを基に試算したところ、東京電力の推計の3倍を超える1京5000兆ベクレルに上るとする研究結果もまとまっています。

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