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8月17日のニュース

冷却装置停止 所長ら把握せず

最初に水素爆発が起きた東京電力福島第一原子力発電所1号機の事故発生当日の対応について、東京電力の関係者が、政府の事故調査・検証委員会の調査に対し、運転員の判断で非常用の冷却装置を止めたのに所長らがその情報を把握せず対策を取っていたと証言していることが分かりました。
専門家は安全上重要な情報が伝わらなかったことで、事態を深刻にした可能性があると指摘しています。
福島第一原発1号機では、すべての電源が失われても原子炉を冷却できる非常用復水器と呼ばれる装置が備えられていて、地震発生直後に起動しましたが、11日午後6時半ごろからおよそ3時間にわたって運転が止まっていたことが分かっています。
この理由について、東京電力の関係者が政府の事故調査・検証委員会の調査に対し、「復水器が起動していれば発生するはずの蒸気が確認できなかったため、1号機の運転員が復水器の中の水がなくなっていわゆる『空だき』になっていると疑い、装置が壊れるのを防ごうと運転を停止した」と証言していることが分かりました。
安全上重要なこの情報は、当時、免震重要棟で指揮をとっていた福島第一原発の吉田昌郎所長ら幹部には伝わらず、非常用復水器が動いているという前提で対策が取られていたことも分かり、吉田所長は「重要情報の把握漏れは大きな失敗だった」という認識を示しているということです。
1号機は、東京電力の解析で、地震発生から5時間という短時間のうちに原子炉の燃料が溶け落ちるメルトダウンになり、大量の水素が発生して翌日の12日に水素爆発を起こしています。
これについて、エネルギー総合工学研究所の内藤正則部長は「非常用復水器が動いていれば原子炉に一定の水位があったはずだが、実際にはどんどん水位が下がっていたわけで、一刻も早く別の注水手段を取るべきだった。重要な情報が伝わらなかったことで、メルトダウンまでは時間的余裕があると思い込み、事態を深刻にした可能性がある」と話しています。

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