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8月9日のニュース

緊急時避難準備区域 解除へ

政府は、9日夜、原子力災害対策本部を開き、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて設定された「緊急時避難準備区域」について、原発の状況が改善しているとして、各市町村が復旧計画をまとめたあとに一括して解除する方針を決定しました。
合わせて原発から半径3キロ圏内の地域について、モニタリングを実施したうえで、今月中にも一時帰宅を認めることを決めました。

それによりますと、福島第一原発の事故で緊急事態が生じたときに屋内退避や避難を準備する区域として政府が指定した「緊急時避難準備区域」について、水素爆発の可能性が低くなるなど、原発の状況が改善していることや、学校や公共施設の放射線量のモニタリングで基本的に安全性が確認されたとして、一括して解除するとしています。
ただ、解除の時期は、各市町村が学校や医療施設などの公的サービスの再開や学校などの除染を含む「復旧計画」をまとめたおおむね1か月程度あととしています。
また、住民の帰宅時期については、上下水道などのインフラの復旧や除染の進み具合が地域で異なることから、各市町村の判断を尊重する方針です。
一方、警戒区域と計画的避難区域については、区域内の放射線量を詳細にモニタリングし、住民の安全が確保されたかどうかを確認したうえで、上下水道などのインフラを含め住民の生活環境の復旧のめどなどが立った地域について、段階的に区域の見直しを行うとしています。
ただ、極めて高い放射線量などの理由で、相当長期にわたって帰宅が困難な区域の存在も今後明らかになるという見方を政府として初めて示し、その地域については、自治体と共に長期的な復興対策や対応策を検討するとしました。
このほか、立ち入り禁止となっている「警戒区域」のうち、これまで一時帰宅を認めていなかった原発から半径3キロ圏内の地域について、モニタリングを実施したうえで、今月中にも一時帰宅を認めることを決めました。
対策本部で菅総理大臣は「住民の皆さんには避難してもらうときも大変だったが、帰ってもらうときは、それ以上に大変なこともある。この地域に、もともと住んでいた皆さんが、安心して帰れる地域になるよう、一層の努力をお願いしたい」と述べました。

「緊急時避難準備区域」の解除に関連して、経済産業省の原子力安全・保安院は、東京電力福島第一原子力発電所で原子炉の冷却が長時間中断した場合の被ばく量を予測した結果、20キロ以上離れた場所では国の防災指針などに照らして十分に小さいとしています。
この予測は、福島第一原発の1号機から3号機までで今回の事故を上回る15時間にわたって原子炉の冷却が中断した場合の20キロ離れた地点での被ばく量を計算したものです。
それによりますと、原子炉にほとんど燃料が残っていないと想定すると、20キロの地点に1週間とどまった場合の被ばく量は0.17ミリシーベルト、1年間住み続けた場合は0.65ミリシーベルトと、いずれも国の原子力防災指針で屋内退避を行う指標となる10ミリシーベルトを下回るとしています。
また、3号機の炉心に多くの燃料が残っているというより厳しい想定では、1週間とどまった場合で2.3ミリシーベルト、1年間住み続けた場合で17ミリシーベルトとなりますが、周辺の放射線量を監視し続けることで、余裕を持って被ばくを防ぐ対策ができるとしています。
そのうえで、原発から半径20キロ圏外では、原子炉の冷却が長時間中断しても、放射線の影響は小さいと結論づけています。

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