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7月9日のニュース

廃炉向けた工程表案明らかに

東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向け、国の原子力委員会や東京電力などが検討している、中長期的な工程表の案をNHKが入手しました。
この案では、廃炉に向けて最も重要となる溶け落ちた核燃料を取り出す作業を開始する時期の仮の目標を10年後に定めるとともに、最終的に原子炉建屋を解体し撤去するまでには、数十年に及ぶ作業が必要だという見方を示しています。
この工程表の案は先週、国の原子力委員会や原子力安全・保安院などの国の関係者のほか、東京電力や原子炉のメーカーなど、原発事故に対応する関係機関が一堂に集まった会議で示されたものです。
それによりますと、廃炉に向けての作業は、まず1号機から4号機の使用済み燃料プールに保管されている核燃料の取り出しを3年後の2014年度の初めに開始し、2016年度の末以降順次各号機で終えたいとしています。
最も重要となる溶け落ちた核燃料を取り出す作業については、10年後の2021年度から開始することを仮の目標とし、必要な技術開発を進めていくとしています。
この目標は、アメリカのスリーマイル島原発事故の処理でかかった時間などを参考に決めたとされています。
しかし、福島第一原発の場合、スリーマイル島原発とは違い格納容器が損傷しているため、作業を進めるには、格納容器を補修し水で満たせるかどうかなどが重要なポイントになるとしています。
最終的に原子炉建屋を解体し撤去するのは、これらの核燃料を取り出す作業を終えたあとのことで、工程表の案では、「数十年オーダーの長期に及ぶことが想定される」として、廃炉には長期間の作業が必要だという見方を示しています。
福島第一原発の事故の収束に向けた来年1月ごろまでの短期的な工程表はすでに公表されていますが、廃炉に向けた中長期的な工程表の案が明らかになったのはこれが初めてです。
国や東京電力などは、この案を基に廃炉に向けた工程の検討をさらに進めることにしています。
福島第一原発の廃炉を巡っては、細野原発事故担当大臣が、原子炉を安定冷却させるめどとしている今月中旬には、廃炉までを見通した中長期的な道筋を示したいという考えを明らかにしていました。

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