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3月21日のニュース

東京消防庁の放水 20時間余

福島第一原子力発電所3号機を冷却するため、東京消防庁の消防隊員が、放射線にさらされるぎりぎりの状況のなか、21日未明まで3回にわたって特殊な消防車を使った連続放水を行いました。
あわせて20時間余りに及ぶ放水で、使用済み燃料を保管するプールの容量の3倍にあたる水が放たれ、一定の効果があったとみられています。
福島第一原発の3号機は、使用済み燃料を保管したプールが冷却できなくなり、このままでは放射性物質が大量に漏れ出すおそれがあることから、政府の対策本部は、自衛隊や警視庁に続いて、特殊な消防車を数多く持つ東京消防庁に派遣の要請を行いました。
これを受けて、東京消防庁は、1次と2次の部隊に分け、あわせて241人の隊員と消防車44台を現地に派遣しました。
放水は、地上22メートルの高さから放水することができる「屈折放水塔車」という特殊な消防車を、3号機からわずか2メートルほどの場所に置き、離れた場所でくみ上げた海水をホースで送りながら連続して行われました。
現場は津波や水素爆発によるがれきなどで足場が悪く、当初計画していた岸壁に海水をくみ上げるポンプ車を置くことができず、送水にあたっては全長800メートルのホースを引かなければなりませんでした。
このうち、350メートルほどの間はホースを設置する車両が通れず、40人の隊員が2手に分かれ放射線にさらされる恐怖のなかで車から降り、長さ50メートル、重さ100キロのホースあわせて7本を手作業でつないでいくという過酷な場面もありました。
この際、作業する隊員に離脱用の車が付き添って放射線の測定を続けたといいますが、隊員の被ばく線量は最大で27ミリシーベルトで、ふだんの活動での安全の基準としている30ミリシーベルトを下回ったということです。
放水は、距離や方向を調整したあと隊員が消防車を離れて待避し、ほとんどの時間は無人で行われました。
19日に開始された放水は21日未明まで3回に分けて行われ、あわせて20時間余りに及びました。
放水された海水は燃料プールの容量の3倍に当たる3600トン余りに上り、2回目の連続放水のあとに3号機周辺の放射線の量が減少する傾向を示したことから、放水によって一定の効果があったとみられています。
東京消防庁によりますと、今後の放水については現在、東京電力などと調整中だということです。
また、大阪市消防局が隊員と特殊な車両を原発近くに派遣しているほか、横浜市と川崎市の消防局も部隊を出すことにしていて、互いの連携についても検討しているということです。

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