日本のブランドを守る 偽物を見破る新技術

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日本から海外に輸出している食品や農林水産物は年々増えていて、品質の高さが評価されています。一方で、日本の商品によく似た偽物が販売されるという問題も指摘されています。その解決に挑む新技術を取材しました。

高級日本酒 開封されていないか見抜く

福井県鯖江市の酒造メーカー「加藤吉平商店」は、海外で流通している自社の日本酒の偽物に頭を悩ませています。

このメーカーは海外への輸出が売り上げの半分近くを占めます。看板商品の銘柄は、アメリカや中国の飲食店で日本円にして30万円近くの値が付きますが、この空きビンに別の酒を入れ、ラベルやキャップを精巧にまねた偽物が出回っているというのです。

酒造メーカー 代表 加藤団秀さん
「(空きビンに)ほかのいろいろな酒を入れて売っているお店が結構ある。どれぐらい被害に遭っているかは調べようがないので分からないが、累積では数億円で済めばいい」

この酒造メーカーは偽物を見破るため、厚さ0.1ミリというICタグを使った新しい仕組みを導入しました。

厚さ0.1ミリのICタグ

ICタグを酒のラベルの裏側に貼り付けておきます。未開封の酒のキャップが開けられたり、ラベルが剝がされたりするとタグが断線します。スマホをかざすと専用のサイトに接続され「開封済み」だと分かる仕組みです。

小売店や消費者がタグを読み取ることで、偽物を確実に識別できるといいます。

仕組みを開発したIT企業「SBIトレーサビリティ」 代表 輪島智仁さん
「正規品とか本物と証明するようなエビデンス(証拠)として示すことで、商品自体のブランドとか信用とかを高めていくことができるんじゃないか」

特殊な粉で模造品対策

特殊な粉末を使って本物と偽物を区別しようとする新技術も登場しています。

アメリカのベンチャー企業が開発した特殊な粉末は、粉に無数の穴が空いています。その穴の配列がバーコードのような役割をして特定の情報をひもづけることができるそうです。

例えば、この粉末で錠剤のサンプルの表面をコーティングし、スマホの専用アプリで撮影すると、「ABC鎮痛薬」という錠剤の情報が表示されます。

粉末は食品の添加物にも使われる物質でできていて人体に害はないとされ、認証をとれば食品に付けることもできるといいます。現状では、粉末を包装用フィルムや果物の表面のワックスなどに混ぜ込むなどの使い方が想定されています。

特殊な粉末を使った技術で偽物対策サービスを手がける「PwC Japan」 西口英俊さん
「付けた場所が全く分からない状態にしておけば、タグを盗まれるとかそういうことも基本的にない。とにかく徹底的な模造品対策をできるようにしたい」

取材した企業によると、日本の化粧品やバッグも多くの偽物が出回っていて、メーカーを悩ませているということです。海外ではブランドが有名になればなるほど偽物が出回る可能性が高くなるということで、そうした価値を守るために新たな技術が力を発揮してほしいと思います。
(経済番組 ディレクター 村上由和)
【2022年9月27日放送】
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