アフリカのスタートアップ 日本人経営者が融資ビジネスに挑戦

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「最後の巨大市場」と呼ばれるアフリカ。日本企業の進出は遅れ気味と言われますが、アフリカの成長力にかけた日本人経営者がスタートアップ企業を立ち上げ、融資ビジネスに挑戦しています。

個人タクシードライバーに融資 コロナで商機?

現地を走るタクシー

アフリカ東部にあるケニアの首都ナイロビは人口約440万人が暮らす大都会です。現地でスタートアップ企業を経営する小林嶺司さん(33)は、個人タクシーのドライバー向けに融資を行うサービスを展開しています。ドライバーが選んだ中古車を会社でいったん買い取り、購入代金をローンで返済してもらう仕組みです。

ケニアでスタートアップを経営する小林嶺司さん

スタートアップ企業CEO 小林嶺司さん
「現地でいちばん安い車で70~80万円ぐらい。この金額を貯金している人は少ない。課題の深いところにチャレンジしたい」

小林さんは学生時代の旅行をきっかけに、アフリカに無限の可能性を感じたといいます。

2019年に会社を設立した当初は、タクシーに限らず幅広く融資を行っていました。しかし20年に新型コロナの感染拡大で景気が悪化し、4割の融資が回収できなくなりました。

そこで考え出したのが、タクシードライバー向けの融資でした。コロナ禍のなか3密の回避でタクシーの需要が伸びるとみたのです。

普及率8割のスマホ決済を審査に活用

小林さんの会社の融資サービスでカギとなっているのは、独自の審査システムです。

ケニアで普及率が8割というスマホ決済「エムペサ」を審査に活用。半年分の利用明細を提出してもらい、自社で開発したシステムで解析します。ほかに多くのローンを抱えていないか、ギャンブル癖がないかなどをチェックしたうえで融資します。

さらに収支をグラフ化して、毎月一定の収入があるかどうかもチェックしています。

小林さんのスタートアップ企業のCOO 時田浩司さん
「友達からかき集めて残高を持っておこうとする人も中にはいるので、安定して収入があるのかどうかを重視している」

アフリカ市場とともに「自分たちが成長を」

審査を通過するのは7割ほど。これまで約450人のドライバーに3億円以上の融資を行い、貸し倒れはほとんどありません。

1年半前から融資を受けているタクシードライバーのアントニー・カビルさんは、それまで知り合いの車を、お金を払って借りていましたが、その時よりも月々の支払いが減り約1年半後には完済予定です。

タクシードライバーのアントニー・カビルさん

カビルさんは「とてもいいことだ。車のローンを完済すれば貯金を増やしたり、ほかの用途に使ったりすることができる」と話します。

スタートアップ企業CEO 小林さん
「自分ら自身がまず成長しないといけないと考えているので、ファイナンス事業をちゃんと軌道に乗せてデータも多く蓄積できるようにしたい。アフリカ全体が盛り上がってほしい。少しでもわれわれも貢献できれば」

アフリカの成長力の源泉は“若さ”です。国連によると、日本は高齢化が進み平均年齢が48.7歳ですが、アフリカは平均年齢18.7歳です。小林さんのような若手経営者の力が期待されます。
(国際部 記者 大石真由)
【2022年9月1日放送】

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