まちも盛り上がる!?分散型宿泊

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ホテルや旅館といえば、入り口にフロントがあって客室は建物の中にあるのが一般的ですが、そうではなく、街に点在する空きスペースを客室として提供する「分散型宿泊施設」というサービスがいま増えています。どんな宿なのでしょうか?

客室は元菓子店 朝食は純喫茶

大阪府東大阪市の布施商店街。その一角に分散型宿泊施設「SEKAI HOTEL」のフロントがあります。チェックインを終え「それではお部屋のほうに・・・」と案内されたのは、建物の外です。

商店街を歩くこと約1分。客室はもともと菓子店だった空き店舗をリノベーションした建物にあります。料金は1室2万4000円~(税込み)です。

こうした客室が商店街一帯の7か所に分散しています。大阪の下町が体感できるよう、さまざまなお店とコラボしています。

昼食や夕食には人気のたこ焼きをはじめ、名物の「ねり天」などを食べ歩きできます。

また大浴場を希望する客には、地元の銭湯を案内しています。

さらに、朝食会場は常連が通う純喫茶。ボリューム満点のモーニングが味わえます。宿泊客の一人は「朝食に行くのが一つのイベント。楽しんでいける」と話しました。

空き店舗を有効利用することで、商店街に新たな客を呼び込もうとしています。

布施商店街で店を営む 平賀俊也さん
「(客がSNSで)発信もしていただいているので、知名度を上げていけたら」

分散型宿泊施設 久米佑宜支配人
「地域活性のロールモデルとしてフランチャイズ展開できれば、いちばん理想的だと思っている」

見るだけではなく活用する文化財に

歴史的建造物を分散型宿泊施設にする動きもあります。城下町の街並みが残る愛媛県大洲市の「NIPPONIA HOTEL 大洲 城下町」では、古民家をフロントにしています。そして街の中にいくつも残る古民家をリノベーションして客室にしました。

豪商の蔵を使った客室もその一つで、料金は1泊2名、朝・夕食付き5万4208円(税込み)~です。

この蔵は長い間使われておらず、所有者には毎年払う固定資産税と維持・補修費が負担になっていました。運営会社はそうした費用を肩代わりして建物を借り受け、客室として運用しています。

分散型宿泊施設 宮村翔瑠支配人
「見るだけの文化財ではなくて活用する文化財にどんどんシフトチェンジしていく」

地元では、観光客を呼び込みながら町並みの保存にもつながると期待しています。

大洲市環境商工部 武田康秀部長
「いかに経済を交えて(町並みを)継続維持していくかは非常に大きな課題だったが、この事業がきっかけになってどんどん(活性化が)進んでいってくれるのではないかと期待している」

大洲市には、大洲城を活用した分散型宿泊施設もあります。料金は1泊2名、朝・夕食付き110万円(税込み)。インバウンド需要が戻ってくれば外国人旅行者などにも話題になるかもしれません。

空き店舗や古い町並みを何とか維持、活用したいという地域は少なくないと思います。今回の2つの取り組みが地域の魅力を発信することにつながるか注目されます。
【2022年4月18日放送】