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太陽光パネル 誰が掃除するの?

再生可能エネルギーとして普及が進む太陽光発電。しかし、あの巨大な太陽光パネル、掃除はどうしているのだろうと考えたことはありませんか?

ロボットに掃除を任せられないか、そう考えたベンチャー企業が四国にありました。(高松放送局記者 池田昌平)

掃除は必要なのか

そもそも太陽光パネルは、掃除をする必要があるのでしょうか。

事業者に聞いたところ、パネルの表面が砂などで汚れると発電効率が落ちてしまいます。このため、砂などは取り除く必要がありますが、日本は雨が多いので、パネルの多くは汚れても雨で汚れが落ちることが前提になっているということです。

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中東の大型パネル

しかし、世界には汚れが深刻な影響を及ぼす場所も。強い日ざしを生かして、ソーラーパネルの建設が次々と進められている中東やインドです。雨が少なく乾燥しているため、パネルに砂が付着しやすく、清掃をしないと発電効率が1か月当たり15%から20%ほど下がってしまうのです。しかも、こうした地域では日中は暑さが厳しく、人による清掃は難しいのです。

掃除ロボットを開発へ

ここに目を付けたのが、高松市のベンチャー企業「未来機械」です。

社長の三宅徹さん(38)。14年前、香川大学の大学院生だった時に起業しました。窓拭きロボットの開発を進めていたところ、大手メーカーから太陽光パネルの清掃用ロボットを開発してくれないかと打診がありました。結局、その大手メーカーは撤退しましたが、単独で開発を続けたといいます。

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三宅徹さん

「中東に行った時に太陽光パネルが砂で汚れているのを見つけて、これはロボットが必要だと確信した。さらに中東では太陽光パネルの大規模な建設工事が進んでいるのを見てマーケットの拡大が見込めると考え、世界進出を目指した」(三宅社長)

ブラシとセンサーと

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小型ロボット
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大型ロボット

開発のスタートから10年。去年までに小型と大型と2つの清掃ロボットが完成しました。小型は、幅が1メートル余り、大型は4メートルを超えます。

特にこだわったのが、水が使えない乾燥地帯でも砂をはじき飛ばすことで清掃できるブラシの開発です。サウジアラビアなどの太陽光発電パネルで実験を行い、何十回と試行錯誤を繰り返した結果、ブラシの最適な毛の量と回転速度にたどりつき、人が清掃するのと変わらない発電効率を実現できたといいます。

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これがブラシです

また、ロボットがパネルからはみ出さずに自動で清掃できるよう、パネルの端を感知するセンサーを取り付けました。

「ロボットの大きさをどうするか、掃除はブラシでするのか、布でするのか。砂は吹き飛ばすのか、吸い込むのか。水を使うのか使わないのか、選択肢はいろいろあってなんでもあり。アイデアをたくさん出してそれをいくつかに絞って作り始めるんですが、この試行錯誤の期間が大変で、とにかく時間がかかる。特にブラシを使った清掃技術と自動走行技術の2つがいちばん難しかったですね」(三宅社長)

来年度から輸出へ

未来機械はことし8月、本格的に世界に進出するため、地元の電力会社などからおよそ7億円の資金を調達。出資元の農業機器メーカーの工場で一部の生産ラインを借りてロボットを量産し、来年度から主に中東とインドの太陽光発電事業者向けに輸出する計画です。

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「今、自分たちにしかできない技術があるのは、マーケットに注目して長い期間をかけてそれに特化して一生懸命やってきた結果なんです。ただ、国際競争なのでスピード感が大事です。今、特許を持って先頭を走っていますけど、特許だけでは守り切れないのは当たり前の話で、早くマーケットに販売して、認知してもらって、信頼を勝ち得てどんどん拡大していきたいです」(三宅社長)

アイデアと技術力があれば

三宅社長は今後、人手不足が深刻になっている日本で需要の増加が見込める、橋りょうなどのインフラを点検できるロボットも開発していきたいとしています。

今回、三宅社長に話を聴く中で、たびたび壁にぶつかりながらも常に自分を信じて前向きに研究開発を進め、乗り越えていく姿勢が強く印象に残りました。四国に根ざしたベンチャーでも、アイデアと技術力があれば世界に挑戦できることを示したことは、ほかのベンチャー企業にとっても参考になると感じました。三宅社長の挑戦に今後も注目したいと思います。

池田 昌平
高松放送局記者
池田 昌平
平成27年入局
警察・行政を担当した後
現在は経済などを取材