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年内に妥結可能? どうなるRCEP交渉

最近「RCEP」ということばをテレビや新聞で見かけることが多くなったと思いませんか?

日本や中国、インド、ASEAN=東南アジア諸国連合の各国など、世界の人口の半分を占める16か国が参加する大型の経済連携協定です。交渉開始からすでに5年がたっています。

しかし、ここにきて交渉が加速するのではないかと期待が高まっています。アメリカのトランプ大統領が保護主義的な政策を一段と進めているためです。

目標は「年内の実質的な妥結」、果たして本当に実現できるのでしょうか。(経済部記者 宮本雄太郎 渡邊功 柴田明宏)

5年にわたる交渉

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RCEPは日本語で「東アジア地域包括的経済連携」と言います。

日本や中国、インド、ASEAN10か国など16か国が参加、域内の人口は世界の半分近くにあたる35億人、GDP=国内総生産の合計は25兆ドルに上ります。

この中で農産物や工業製品の関税の引き下げや、取引のルールなどを決めて貿易を活発にすることを目指しています。

11か国のTPP=環太平洋パートナーシップ協定や、日本とEU=ヨーロッパ連合とのEPA=経済連携協定よりも大型の協定です。理想は高いのですが、交渉がなかなか進展しませんでした。

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メンバーは、日本やオーストラリアなどの先進国、所得が低いラオスやカンボジアなど、さらに経済成長が著しい中国、インドという大国まで含まれ、それぞれが抱える事情も異なるからです。

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トランプ大統領はTPPからの離脱を決定(2017年2月)

しかし、アメリカのトランプ政権が保護主義的な政策を一段と進める中、ことしになって一転して動き出します。18の交渉分野のうち、「経済技術協力」や「政府調達」など、4つの分野ですでに実質的に妥結しています。

そして7月に東京で行われた閣僚会合では年内に実質的に妥結することを目指すことで一致、交渉が加速しています。

シンガポールで何が

10月13日、雨期に入り、日本と違って蒸し暑くなったシンガポール。ことし4回目となる閣僚会合が開かれました。

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午前8時半から非公開で行われた会合。関係者によると、少人数に絞り込んだ会合も交えて、意見に隔たりのある分野を中心にどこまでなら折り合えるかなど、つっこんだ議論が交わされたと言います。

およそ7時間後に発表された共同声明には「交渉を実質的に妥結させることへの決意を再確認」と記し、そのうえで各国は再度閣僚会合を開いて詰めの協議をし、11月に予定される首脳会議につなげることで一致しました。

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世耕経済産業大臣は「いよいよ大詰めの段階にきた。懸案を閣僚で政治的に判断するという準備ができてきた」と述べ、交渉が進展したことを伺わせました。

ある政府関係者は「年内の実質的な妥結を確認できたことは大事だ。11月はヤマになる」と述べました。

容易ではない終盤戦

では、目標どおり「年内の実質的な妥結」が実現できるのか。
まだまだ壁はありそうです。

まず鍵となるのが中国とインドです。

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中国は、アメリカとの間で貿易摩擦という難しい課題を抱えています。そうした中、従来より一定の歩みよりの姿勢は見せていますが、実際の交渉になると自国の産業を守ろうと自動車の関税引き下げなどに反発しているのです。

そして、インドも関税を下げれば国境を接する中国から大量のモノが入って自国産業に打撃が出ることをおそれています。早期の妥結には慎重です。

そうした中で日本としては少しでも自由化のレベルが高い内容を目指しています。

RCEPは10月18日から27日までニュージーランドで事務レベルで、そして11月には閣僚会合、続いて首脳会議が開かれます。目標は首脳会議での決着ですが、細部ではまだまだ隔たりがあります。

世耕大臣が言うように最後に政治レベルでの決着を図れるのか、RCEPは正念場の交渉を迎えています。引き続き、その動きを追いかけていきたいと思います。

宮本 雄太郎
経済部記者
宮本 雄太郎
平成22年入局
札幌局をへて経済部
現在 経済産業省担当
渡邊 功
経済部記者
渡邊 功
平成24年入局
和歌山局をへて
現在 外務省、経済産業省担当
柴田 明宏
経済部記者
柴田 明宏
平成16年NHK入局
長野局 名古屋局をへて
現在 経済産業省担当