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早期に実用化!?自動運転車 日本の活路は

「自動運転機能がない車は、『アンティーク』のように感じるようになるだろう」
アメリカの半導体メーカー、「エヌビディア」の創業者でもあるジェンスン・ファンCEOは、自動運転車についてこう述べました。自動運転技術の鍵を握るとされるメーカートップが早期の実用化に自信を示す背景には何があるのか。また、開発競争での遅れも指摘される日本メーカーに活路はあるのでしょうか?(経済部記者 鈴木啓太 加藤陽平)

自動運転で力を発揮する「GPU」

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エヌビディアの「GPU」

「エヌビディア」が作っているのは「GPU」と呼ばれる半導体で、一度に多くの計算を同時に行えるという強みがあります。

これが、膨大な計算を必要とする自動運転の開発には欠かせないと、多くの企業に採用されています。

さらに、「エヌビディア」はトヨタやウーバーなど450以上の企業・団体と手を組み、自動運転技術の開発にも携わっています。

自動運転車「2年後には当たり前に」

自動運転技術の鍵をにぎると言われるこの会社のジェンスン・ファンCEOが、イベントに併せて9月に来日し、自動運転車の将来について語りました。

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エヌビディア ジェンスン・ファンCEO

「自動運転車が普及するタイミングについて。次世代の自動車は自動運転の能力を得ていくだろう。きっと、自動運転機能がない車は『アンティーク』のように感じられるようになる。2年以内には、自動車がみずから車線に沿って走ったり、止まったりすることは、当たり前に感じるだろう」

早期の実用化に自信を示した、ファンCEO。高度な自動運転車の実用化には、安全性の確保が必要になりますが、これも多くの企業との協力関係で克服できるとしています。

「自動運転車の実現には、高い水準の安全技術が必要だと認識している。安全技術を支えるのは、私たちが多くの企業と、友人として積み重ねてきた経験。安全な技術を作るという課題の解決のために、トヨタやウーバーなど業界全体で取り組み、技術開発のための投資をしている。私たちは迅速に、そして、緊密に連携して対応している」

さらに、ファンCEOは今回のイベントで、自動運転技術を開発するための半導体などのハードウエアをまとめた製品を発売すると発表しました。

この製品と開発ソフトをあわせて「プラットフォーム」とすることで、各社を結びつけ、開発を加速することができると強調していました。

異業種との戦い強いられる日本勢の活路は

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グーグルのグループ会社「ウェイモ」の自動運転車

半導体メーカーやIT企業が、自動車メーカーに負けない存在感を示し、異種格闘技戦の様相をみせている自動運転技術、専門家はどう見ているのでしょうか。

立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は、ファンCEOと同様にこの数年で開発のスピードは大きく加速していて、実用化は間近に迫っていると指摘します。

そして、ものづくりの象徴だった自動車産業の構造が、自動運転技術を搭載した次世代には大きく変わると強調します。

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立教大学ビジネススクール 田中道昭教授

▽(ITや通信、エネルギーなどの)テクノロジー会社と既存の自動車メーカーとの戦い
▽日本、アメリカ、ドイツ、中国、それぞれの国の威信をかけた戦い
▽さらに、すべての産業の秩序と領域を定義しなおす戦いになる

では、日本勢はどうすべきなのか。厳しい競争になるが、活路を見いだすことは可能だと指摘します。

「自動運転は競争のポイントだが、手段であって目的ではない。社会的問題と対じし、新たな価値を提供することが最も重要だ。日本で解決していかなければいけない課題として、少子高齢化や人口減少、そして労働者不足、過疎の問題があげられる。そういった問題を解決するという社会的使命の問題意識を高めて、ビジネスを行っていけば、アメリカや中国の企業に追いつき、追い越す余地があるのではないかと考えている」

鈴木 啓太
経済部記者
鈴木 啓太
平成15年入局
経済部から帯広局で
1次産業を中心に取材
現在は自動車業界を担当
加藤 陽平
経済部記者
加藤 陽平
平成20年入局
富山局、千葉局などをへて
現在は電機業界を担当