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お小遣いにビットコイン?!

「スマホのウォレット開いて。はい、送金したよ!」ーーー
電子マネーが普及し、スマートフォンによる決済サービスが広がる中、子どもの小遣いを現金以外の形で渡す家庭も出始めています。キャッシュレスの時代を生きるイマどきの子どもに、お金の価値をどう教えるか、大人たちも頭を悩ませているようです。(さいたま放送局記者 清有美子)

お小遣いに仮想通貨

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名古屋市に住むグラフィックデザイナー、谷口伸一さん(54)の家庭では、子どもたちに小遣いの一部を仮想通貨のビットコインや決済サービスの「LINE Pay」など、現金ではない形で渡しています。

高校2年生の長女、にこさん(17)の買い物に同行してみました。
ケーキ屋ではビットコイン、衣料品店では「LINE Pay」で支払い。財布を1度も出すことなく、スマホだけで買い物を済ませていました。

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子どもの小遣いを、なぜ、仮想通貨やキャッシュレスの形で渡すのか?

父親には、時代の変化に対応でき、チャレンジ精神旺盛な人に育ってほしいという思いがありました。

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「もうけてほしいと思って、ビットコインを与えているわけではありません。“財布レス”が当たり前になり、お金の形も多様になる中、さまざまなお金になじみ、何にでも挑戦してほしいと思っているんです」

思わぬ効果も

価値が変動する仮想通貨や、最新のキャッシュレスサービスでの小遣い。もらう側の子どもは、どう受け止めているのでしょうか?
にこさんは「国内外の経済ニュースや動向に関心を持つよい機会になった」と話していました。

小遣いを通じた谷口さんの教育は、お金以外の分野でも知識を広げるきっかけになったようです。

小学生にもキャッシュレスの波

キャッシュレスの流れは、小さな子どもにも着実に広がっています。

広告代理店大手の博報堂の調査によりますと、人口100万人以上の都市部では、小学生のおよそ3人に1人が電子マネーを使っているということです。

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電車やバスの定期券として電子マネーを持つケースも多いですが、最近は、現金を持たせるより安全だという理由から、子どもに電子マネーを使わせている親も増えています。

イマどきの子はやりくり下手?

その利便性から、子どもの暮らしにも浸透するキャッシュレスですが、親たちには新たな悩みもあるようです。

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ことし7月、夏休み中の親子を対象に開かれた講座は、その名も“キャッシュレス時代に必要な金融教育”。
ふだんは大人向けに投資講座などを開いている東京の「ファイナンシャルアカデミー」が企画しました。

この日、参加した親子は30組余り。参加した理由を親に聞いてみると「現金より安全だと思って電子マネーを与えているが、現金と違ってどのくらい使ったのかわからない。お金の大切さがわかっていないようだ」とか、「計画的にお金を使うことが苦手なようだ」と話していました。

講座で講師を務めた福田祥子さんは、キャッシュレス化で支払う行為が簡単になった一方、子どもの金銭感覚に悩む親が増えていると指摘します。

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「昔の子どもは、小銭を握りしめて近所の駄菓子屋に通い、小遣いで“やりくり”することを自然に身につけたが、そういう店は減っています。さらに、お金の流れが目で確認できない電子マネーを使う子どもが増えています。やりくりする習慣がないから、お金を持つと欲しいものをすぐに買おうとする子どもが増えているように感じます」

金銭感覚 どう育む?

この講座では、子どもたちは1000円をやりくりして欲しいモノを買うカードゲームに挑戦します。

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ゲームが進行する中、講師の福田さんは、お金を計画的に使うことの大切さを繰り返し訴えます。
講座が終わりに差しかかったころ、福田さんは保護者に呼びかけました。

「お子さんのお金の使い方で悩んでいる場合は、限られた額の“現金”を渡してお子さんにやりくりさせてあげてください。実体験でお金を使う感覚を養ってから、キャッシュレス決済と付き合っていくのがいいと思います」

お金の形が急速に変わろうとしています。今回の取材を通じて、子どもだけでなく、子育てをする大人たちも、お金とどう向き合うべきかを考え直す必要があると感じました。

清 有美子
さいたま放送局記者
清 有美子
平成15年入局
経済部、報道局遊軍を経て
現在は生活経済や
子育てに関するテーマを取材