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首都圏 マンション最新事情

どこまで値上がりが続くのでしょうか。首都圏の新築マンション価格がバブル期以来の高い水準にまで上昇しています。東京23区内に限れば価格は7000万円を越え、簡単には手が届きにくい現状になりつつあります。こうした中、人気を集めているのが、郊外のいわゆる“駅チカ”の物件と割安感のある中古マンションです。(経済部記者 坪井宏彰)

都心の億ション

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東京渋谷区の恵比寿。JR山手線や湘南新宿ライン、地下鉄の日比谷線などが通るアクセスのよさに加えて、周辺にはおしゃれなスポットも多い人気のエリアです。この街に三菱地所が建設中のマンション。高級感のある仕様と、駅から徒歩7分という抜群の立地のよさも相まって、平均の価格はなんと1億7000万円!。不動産会社によると、若い世代から高齢者まで幅広い世代の富裕層が次々と購入しているというから驚きです。

バブル期以来の水準

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民間の調査会社、「不動産経済研究所」によると、首都圏の新築マンションの販売価格は、ことし上半期の平均が1戸当たり5962万円。東京23区に限れば7000万円を超え、バブル期以来の高い水準となっています。人手不足による人件費の高騰や資材価格の値上がりに加え、マンション建設のための用地取得競争の激化などもあって値上がりが続いているのです。

存在感を増す郊外の駅チカ物件

そうはいっても、ここまで値上がりすると平均的な収入のサラリーマンにとっては、都心の新築マンションは“高嶺の花”と言っていいと思います。そうした中で、今、存在感が高まっているのが「郊外の駅チカ」物件です。

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神奈川県海老名市に人気の物件があると聞いて、取材に向かいました。駅まで3、4分の場所に小田急不動産が建設中の物件です。人気の理由は、都心まで電車で1時間程度というアクセスのよさです。部屋の広さなどによりますが、最多の価格帯は5200万円と都心と比べて割安で、売り出し中の250戸余りのうち、すでに9割が契約済みだということです。周辺では去年、大型の商業施設も完成していて、地元で新築に住み替える人のほか、都心に通勤する子育て層からも人気だといいます。

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海老名は都心までの距離もあるため、ベッドタウンと言われると正直ピンと来なかったのですが、現地を訪れると周辺では次々とマンション建設が進んでいて驚きました。都心の新築マンション価格が高止まりする中、ディベロッパー各社は、比較的手ごろな価格で需要が見込めるとあって、こうした”郊外”で”駅チカ”の物件の開発に力を入れるようになっています。郊外でも都心までのアクセスがよいエリアのマンションは人気が高まっていて、神奈川と千葉、埼玉でことし上半期に売り出されたマンションの戸数は去年より20%以上増え、伸び率は都心を大幅に上回りました。

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小田急不動産の清水徹さんは「郊外でも駅に近いなど利便性が高い物件の人気は続く。今後も郊外でいい場所があれば積極的に開発していきたい」と話しています。

中古マンション その価格は適正?

もう一つ、人気が高まっているのが中古マンションです。民間の調査で、首都圏での中古マンションの成約件数は、去年、過去最高の3万7000件に達しました。この人気に着目して、ITを活用した中古専門の新たなサービスも登場しています。中古マンションの価格が、適正かどうか判断してくれるスマホのアプリです。

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このアプリは、東京と神奈川のすべての中古マンションの10年分の売買履歴など、1000万件にのぼるデータをAIに学習させ、価格が適正かどうか瞬時に分析。35年後まで価格の推移を予測し、ユーザーの条件に合う物件のうち相場より割安に売り出されている物件を提案してくれます。担当者とのやり取りもアプリ上のメッセージで行うため、マンション探しから契約まで、基本的にはスマホだけで完結できます。仲介業者に何度も通う手間も省けますし、効率的に住まい探しをしたい人には使い勝手のいいツールになると感じました。

このアプリを使ってことし6月に東京・江東区で中古マンションを購入した男性は、相場より100万円ほど安く売り出されているマンションを買うことができたということです。男性は「このアプリでは1部屋ごとにAIが適正な価格を推定しているため相場を知る上で参考になった。新築は手が届かなかったが、探していた江東区で割安な中古マンションが見つかり、満足できる価格で購入できた」と話していました。

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アプリを開発したIT企業・ハウスマートではアプリの会員数が2万人を超え、去年の2倍に急増しました。針山昌幸社長は「今後もAIの精度を向上させるとともに、全国へのサービスの拡大を目指したい」と話しています。

今後の見通しは

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気になる今後の首都圏のマンション価格について、専門家はどう見ているのでしょうか。不動産経済研究所の松田忠司主任研究員は「値上がりの根本的な原因になっている人手不足などが解消する見通しはなく、当面は価格が高い状況が続く可能性が高い」と話しています。

ただ、来年10月には消費税の増税が予定され、増税前の駆け込み需要や、その後の反動なども予想されます。また2020年の東京オリンピック・パラリンピックのあと、不動産市場がどうなるのかも、専門家の間では見方が分かれています。マンションは、いつ、どんな物件が買い時なのか、市場の動向を注意深く見る必要がありそうです。

坪井 宏彰
経済部記者
坪井 宏彰
平成25年入局
広島局を経て経済部で
現在、国土交通省担当。