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どうしてここに? 「五反田バレー」

「五反田バレー」という言葉、聞いたことがありますか?東京・品川区のJR山手線の駅もある、あの五反田です。かつてはソニーも本社を置いた歴史ある工業地域ですが、歓楽街というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。しかし最近、ここに創業間もないスタートアップ企業がどんどん集まってきているというのです。なぜ今、五反田が熱いのでしょうか。
(経済部記者 菅澤佳子)

「五反田バレー」立ち上げ

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7月25日、品川区の東五反田のビルで開かれた「五反田バレー」の設立総会。

集まったのは、会計ソフト大手の「フリー」、AIを使った営業支援ツールを提供している「マツリカ」、飲食店の予約サービスを提供する「トレタ」など、五反田にオフィスを構えるスタートアップ企業6社。

スタートアップとは、斬新なアイデアや技術で、革命的な製品やサービスを生みだそうとしているベンチャー企業のことです。

「五反田バレー」立ち上げの狙いは、五反田をアメリカ・カリフォルニア州のシリコンバレーのようなスタートアップが集積する街にすることです。

なぜ、五反田?

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なぜ、五反田駅周辺にスタートアップが集まってくるのか。その理由は大きく3つあります。

(1)家賃が割安
五反田へのオフィス移転を30件以上手がけている不動産会社「ヒトカラメディア」によると、五反田駅周辺の坪単価は1万5000円程度。渋谷が2万5000円~3万円、六本木も2万5000円程度なのと比べると割安です。創業間もない企業にとっては、家賃の固定費を削減できるうえ、浮いた費用でオフィスを改装することができるなど、魅力的だと言います。

(2)交通の利便性が高い
山手線沿線で、渋谷駅や品川駅までは10分以内で行くことができます。

(3)近くに住める
さらに、浅草線や東急・池上線が通っていることから「住宅街からもアクセスしやすい町」であり、従業員が住みやすいエリアだと言います。スタートアップ企業の多くは、会社の近くに住む従業員に対して、家賃補助を手厚く支給しています。渋谷だと、近くに住宅地が少ないうえに家賃も高額になりますが、五反田の場合は近くに住むことも可能です。

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ヒトカラメディア 木幡大地さん

「以前は、移転先として五反田を提案しても、拒否反応がほとんどだったが、2年ほど前から変わってきた。勢いのあるスタートアップ企業が五反田にあることを伝えると、『え?そうなの?それならありかも』という反応が増え、移転する企業が急増した。これだけスタートアップ企業が集積しているエリアは他にないと思う」

シリコンバレーを目指せ!

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「五反田バレー」黒佐英司代表理事

「家賃の安さだけを求めて地方に行くと、人材の確保が難しかったり、営業活動がやりにくかったりという課題があるが、ちょうどいいバランスが保てるのが五反田の魅力だ」

「五反田バレー」の代表理事を務める「マツリカ」の黒佐英司社長は、3年前に会社を設立し、2年前にオフィスを五反田に移しました。

一方で、街のイメージアップや企業間の連携不足などの課題を感じており、コミュニケーションの拠点を作る必要性を感じていました。

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「五反田バレー」では、地元の品川区と協定を結び、共同でイベントを企画したり、企業誘致のための具体的な支援策を議論していく計画です。

さらに、今後はより多くの企業に参加を呼びかけたり、大企業や金融機関とも連携して企業の資金調達を後押しすることなども検討します。

こうした活動で企業間や地域とのつながりを強めることで、さまざまな知見を集め、社会的な問題を解決したい人材や、解決しようと挑戦する企業を増やしたり、イノベーションを起こしていきたいということです。

「五反田バレーがコミュニケーションの拠点となって、『スタートアップと言えば、五反田』と言われるようなブランドにしていきたい」(黒佐英司さん)

動き出したばかりの「五反田バレー」構想。足元では、人気を背景に家賃が上がり始めていたり、空室が少なくなっていたりと、五反田進出をうかがうスタートアップにとって、ちょっと気になる環境変化もあるようです。

時間はかかるでしょうが、五反田がスタートアップ企業の一大集積地に変化していくのか、これからもこの街に注目していきたいと思います。

菅澤 佳子
経済部記者
菅澤 佳子
平成16年入局
札幌局を経て、経済部で
金融やエネルギーを担当、
現在は経済産業省を担当