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ZOZO海外進出 前澤友作社長が語る“野望”とは?

ネット通販の分野で、破竹の勢いで成長してきた「ZOZOTOWN」。“衣料品はネットでは売れない”という業界の通説を覆し、いまや約6400ものブランドを扱って若い世代を中心に支持を集めています。運営企業の「スタートトゥディ」は、10年で売上高は10倍以上に拡大、稼ぐ力を示す営業利益率は30%超と小売業界でトップクラス。急成長と高収益を両立する会社を率いるのが、創業者でもある前澤友作社長(42)です。他社が思いもよらないような斬新なアイデアを打ち出してきた、その発想の源泉と胸に秘めた野望に迫ります。(経済部記者 中島圭介 寺田麻美)

ZOZO“世界進出”

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「『人が服に合わせる時代』から『服が人に合わせる時代』にしていこう」。7月3日、都内で開かれた発表会で語った前澤社長の言葉です。

みずからの体型にぴったりフィットさせた、自社ブランド「ZOZO」のスーツを身にまとって登場した前澤さん。これまで国内だけで扱ってきた自社ブランドを、アメリカやイギリス、ドイツ、それに中国や韓国、タイなど72の国・地域でも発売し、世界進出することを明らかにしました。

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このZOZOの特徴と言えるのが、最新の技術を活用して顧客一人ひとりの体型に合わせた服を提供するという独自のビジネスモデルです。その要となるのが、「ボディースーツ」です。

スマートフォンの専用アプリと連動し、スーツ上の白い印を読み取ることで、店舗に行かずとも正確なサイズをはかることができるといいます。ボディースーツで計測した体型データを基に、これまではTシャツやジーンズなどを作って販売してきました。

これに、新たに男性向けのビジネススーツなども加え、商品のラインナップを拡充。「太っている、やせている」「背が高い、低い」など人によって千差万別な体型に合った「ぴったりの服」を割安な価格で提供する。その独自の戦略で、日本国内にとどまらず世界にも打って出るというのです。

異色のトップ・前澤氏とは

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前澤さんは大手企業のトップとしては、かなり異色の経歴の持ち主です。高校卒業後バンド活動にいそしみ、メジャーデビューを果たします。

その傍ら、20年前に自分が気に入った輸入CDやレコードを販売するために会社を設立。その後、好きなファッションのネット通販に乗り出して、今のスタートトゥデイに成長しました。この間、自分自身のアイデアを事業に反映させてきたということで、実は採寸用のボディースーツも7、8年前に構想し、いまテクノロジーが整って実現が可能になったといいます。

前澤さんは、SNSで率直な発言を発信することでも知られています。人手不足を背景に物流費が高騰する中、ネット通販の送料をめぐって、SNS上で利用者と議論に発展したこともありました。また、100億円を超える現代美術作品の購入や、有名な女優さんとの交際も公表するなどプライベートでも話題に事欠きません。

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創業から20年を迎えて世界に打って出るいま、異色の経営トップである前澤さんが何を考え、将来何を目指しているのか聞きました。

1 服が人に合わせる時代に

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Q:今回の世界進出で「世界中に笑顔を届ける」と。具体的にはどう取り組んでいくのですか?

「いままでの洋服というのはS・M・Lというサイズがあって、逆に言うとそのサイズに皆さんが合わせて服を着ていたと思うのですけれど、これからの時代はもう服が皆さんの体型に合わせていく時代になりました。僕、背も低いし足も短いので、パンツ選びに今まですごく困っていたんです。皆さん、すばらしい物を作られていますけど、残念ながらS・M・Lしかないんですよ。SとMの間にも無数の体型の方がいらっしゃって、本来そこに無数のサイズがあるべきなのですが、どの先輩方もやっていない、じゃあ私たちがやろうと」

「簡単に言うと、一人ひとりの体型に合わせた洋服を作ります。そうして作ったデニムをはいた時には、裾上げをする必要もないし、ウエストもぴったり。はいた瞬間、ものすごく感動した。きっと世界中の多くの人に同じように思ってもらえるはずです」

2 競争はしない

Q:今後のライバルは、ITとビッグデータを活用して躍進するアマゾンですか?

「ライバルはいないと思っていまして、現に同じことをしている方々がいらっしゃらない。ただ、まねをしてくるだろうなという企業はいくつかありますので、そこはちゃんと注視しています。ただ、まねされる頃にはわれわれは違うことをやっていることが多い。競争環境に置かれると、急にやる気が失われてしまう」

なるべく競争しないように、人と違うことをやる。誰かがまねしてきたら、その先に違うことをやる。人と違うことをしたほうが皆さん喜んでくださるし、驚いてくださるし、褒めてくださる。そういうのが快感でしょうがない」

3 目指すは“インフラ”

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Q:ZOZOは国内では知られていても、世界の人は知らない。どう浸透させ、どんなブランドを目指しますか?

「華美なデザインをされたファッションブランドを目指すつもりはなくて、いつも人々の横にそっといてくれるようなインフラに近いというか、水道やガスや電気と同じように生活必需品になればいいなと思っています。なるべく多くの人にデニムやTシャツを届けたい。ミュージシャンだったら、なるべく多くの方にコンサートに来てもらって、僕の歌を届けたいとなるじゃないですか。それと同じで世界60億人70億人の方に、感動のデニムをお届けしたい。野望じゃないですか」

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独自のビジネスモデルを武器に、世界に乗り出す前澤さん。

「ライバルはいない」、「競争は嫌い」と語ってくれましたが、これは「ライバルがいない市場を狙ってビジネスを展開させることで、より大きな利益をつかむ」という経営戦略そのものだと言えます。ただ、ZOZOの攻勢を受けるアパレル業界にとって気にならないわけはありません。今後、国内外のファッション市場の競争は一層激しくなると見られます。

そういう状況も見据えて、前澤さんはボディースーツの先の技術の研究も進めているとも話し、すでに次の一手も着々と準備しているようです。日本発のネット通販の雄が世界的な企業に成長できるのか、異色の経営者の動向から今後も目が離せません。

中島 圭介
経済部
中島 圭介
平成16年入局
青森局、千葉局、
首都圏放送センターをへて
現在、流通業界を担当
寺田 麻美
経済部
寺田 麻美
平成21年入局
高知局をへて財務省を取材
現在 流通・食品業界を担当