ニュース画像

ビジネス
特集
足で稼ぐ営業はもう古い!“デジタル営業”の時代到来

企業の営業といえば靴底を減らしての外回りやテレアポのイメージを持っている方もいるかもしれませんが、最新のITツールによって大きく変わってきています。効率をとことん追求した“デジタル営業”の広がりを追いました。
(経済部記者 野上大輔)

営業の見込みをスコア化

企業向けにセキュリティのクラウドサービスを提供する「HDE」は、デジタル営業にシフトし、効率化を実現しました。

この会社の営業はこれまで、テレアポが中心でした。企業の顧客リストを使って電話をかけ、そのうえで可能性のある企業向けに自社のサービスを紹介するメールを送っていましたが、顧客開拓に時間がかかることが課題でした。

そこで導入したのが営業を支援するITツールです。このツールは自社のHPへの来訪や問い合わせ、メールの開封頻度などから、どの企業が営業の見込みが高いか分析します。

ニュース画像

このツール、インターネット上の住所とも言える、IPアドレスを分析してHPへの来訪をそのつど捉えています。

IPアドレスがどの会社のものかは、データベース化されてシステムに組み込まれていて、IPアドレスから企業名が特定できます。

また、顧客のメールアドレスがわかっている場合、メールを送信して、添付してある自社のサイトを開いてもらえば、その人が使うパソコンのクッキー情報を取得。アクセスしたパソコンやスマホと担当者をひも付けることができます。これによって、サイトのどのページをどれくらい見ているのかなどから、関心の度合いをはかり、営業先としてどれだけ有望か、点数化=スコア化するのです。

例えば、メールを開封したら1点、サイトを見たら5点、商品説明の動画を見たら15点、相手がターゲットとしている業界や規模の企業なら20点といった具合です。

点数が高い企業に優先的に連絡をとれば効率が上がります。

受注件数4倍に

データ分析は顧客となる可能性のある企業への連絡のタイミングにも活用されます。

例えば「過去に受注に失敗した企業からアクセスがあった」や「システムの更新時期が近い企業が関心を持っている」など行動履歴に基づく売り込みのチャンスを、約20種類のアラートで通知してくれるのです。

ツールの導入前、顧客の開拓からアポ取り、商談まで営業が1人で担当していましたが、今はアポ取りまではツールと社内の部署に任せ、営業担当が商談に集中できるようになった結果、受注件数は4倍に増えたといいます。

ニュース画像
水谷博明さん

この会社のデジタルマーケティング部の水谷博明部長は「いままで営業マン独自の勘で動いていたものが、お客さんの攻め時、買い時をデータをもって検知できるようになり、機会損失なくアプローチすることができるようになった。デジタルツールを営業活動に使うことをしていかないと、これからの営業マンは生きていけない」と話しています。

ツールを開発した会社は

このツールを開発したアメリカのIT企業「マルケト」です。

ニュース画像
ツールを導入している企業

日本市場の参入から4年目ですが、導入先はみずほ銀行や富士通、富士フイルム、LINEなど金融業から製造業まで約600社にのぼるといいます。

ニュース画像
福田康隆さん

福田康隆社長は「オンラインでどんな行動をして何を調べているのかがわかれば、成約率が高まることにつながる。働き方改革で一人一人の仕事の生産性を高めていくことが求められている中で、効果的なアプローチのためにツールの活用が注目され始めている」と話し、今後は地方の企業へも導入を広げていくとしています。

さらにAIを活用することで営業の自動化にさらに磨きをかけていく戦略を掲げています。

営業効率化で人材再配置も

こうしたツールは主にアメリカ発で3~4年前から続々と登場しています。

ビジネスチャットの登場で固定電話を置かない企業が増え、スマホで仕事をするのが当たり前になったことから、企業の間ではオンライン経由でいかに客と接点をつくるかが重要になっています。

さらに顧客に接触できるだけではなく、営業活動などを効率化できれば、人材を会社の成長につながる別の分野に配分することができます。

デジタルへの変革を起こす「デジタルトランスフォーメーション」というキーワードを多くの日本企業が叫ぶ中、企業活動もデジタルにますます移行しています。

それに伴ってデジタル化の影響が少ないと見られ、人海戦術や属人的な手法が重視されてきた営業も変化が必要とされています。

野上 大輔
経済部記者
野上 大輔
平成22年入局
横浜市出身
金沢局を経て
現在、情報通信業界を担当