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靴箱はスマホの中に

仕事用の革靴にジョギングシューズ、お出かけ用のブーツ…。靴って、いつのまにか増えてしまいませんか。
恥ずかしながら、わが家の玄関は靴であふれています。靴箱に入りきらない靴は床に置きっぱなし。靴箱の奥にしまっていた大切な靴にカビが生えてしまったことも1度や2度ではありません。こうした靴の悩み事を、スマートフォン1つで解決するサービスが登場しました。そのサービスとは?
(鳥取局記者 木庭尚文)

あふれた靴 どこに保管しよう…

新サービスを利用している人がいると聞いて、神奈川県鎌倉市に取材に行きました。お邪魔したのは夫婦・子どもの3人家族、松原家です。

仕事用の革靴や奥さんのブーツ、それに、成長とともに買い換える子どもの靴などが年々増え、玄関の靴箱に入りきらなくなって保管場所に困っていました。

しかし、そんな悩みを新サービスが解決。松原さんは私にスマートフォンを見せて、「これが私のもう一つの靴箱です」と説明してくれました。スマートフォンを操作すると、宅配会社が自宅に靴を取りに来て、必要になるまで預かってくれる「クラウドシューズボックス」というサービスなのだそうです。

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保管場所はいっぱいあります

預けた靴は、どこに行ったのでしょう。

鎌倉市から西におよそ500キロ。鳥取県倉吉市で保管されていました。預かっているのは社員2人のベンチャー企業「シュプリ」。写真や文書のデータをインターネット上に飛ばして保存する「クラウドサービス」ってありますよね。それをヒントに、去年10月「クラウドシューズボックス」という靴の保管サービスを始めました。

代表の岸田将志さんは、倉吉市の老舗の靴販売店の3代目。東京の大学を卒業後、家業の手伝いをしていましたが、人口減少が進む地方都市で、このまま商売を続けていけるのか危機感を抱いていました。

そんなときヒントになったのが、東京の知人の「靴はほしいけど保管場所がない」という言葉でした。「鳥取は、お客さんは少ないですが、土地は余るほどあって安く借りることができる。ひょっとしたらビジネスになるのでは、とピンときました」と岸田さんはその当時を振り返ります。

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きっちり磨いて預かります

預かった靴は、どんな風に保管されるのでしょう。送られてきた靴は、まず岸田さんが入念にチェック。お客の要望に応じて、すり減った靴底の補修などの手入れも行います。最後に靴を丁寧に磨いてメンテナンス完了。湿度40%から50%に保った倉庫で保管されます。革靴の保管に最適な湿度なのだそうです。

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また、手入れが終わった靴は、写真を撮ってインターネットの専用サイトに掲載。お客は靴箱の中を見るように、ネットを通じて、いつでも自分の靴を確認できるようにしています。

靴を使いたくなったときに連絡すれば、倉庫から出され、お客のもとに配送されます。保管料は送料込みで1足2980円。預かってもらえる期間はなんと無期限。修理などをする場合は別途費用がかかります。

岸田さんは「今の価格設定では利益は少ないのですが、まずはサービスを使ってもらい、クリーニングや修理などのプラスアルファで、会社を運営していければ」と話しています。

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広がる? 靴のクラウド

サービスを初めて半年余り。まだまだ知名度が不足しているため、預かっている靴はまだ300足ほどです。

靴の「保管」や「修理」などのキーワードでネットを検索しても、出てくるのは別の会社のサービスばかり。岸田さんは、靴の手入れの様子を動画で撮影して、会社のホームページやSNSに掲載。地道にアピールを続けています。

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岸田さんは、数年後には、自分の靴をスマホで管理する時代を当たり前にしたいと意気込んでいます。まず1万足を預かり、経営を軌道に乗せることが目標です。

保管場所が確保しやすい地方で、ネットの利点を生かして始まったこのサービス。新しいビジネスモデルになるでしょうか? 注目していきたいと思います。

木庭 尚
鳥取放送局記者
木庭 尚文
平成15年入局
新潟局、首都圏センター、
経済部をへて現所属
経済取材など担当