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10代社長 変革に挑む

あなたの会社の社長の年齢は、いくつでしょうか?
幼い頃から携帯電話やインターネットに囲まれて育った世代の起業家が、続々と登場しています。若さゆえの経験の少なさは柔軟な発想でカバー。時代を切り開き、社会の変革に挑む“10代の社長”を追いました。
(経済部記者 野上大輔)

世界へ挑む17歳

東京・六本木にオフィスを構える「ワンフィナンシャル」。IT技術で画期的な金融サービスを実現する「フィンテック」のベンチャー企業です。

経営者の山内奏人CEOは17歳。おととし、高校1年生でこの会社を立ち上げました。山内さんがパソコンに初めて触れたのは、6歳のとき。自宅にあった古いパソコンで家族旅行のしおりを作ったり、表計算ソフトのエクセルでおこづかい帳を作ったりして楽しんでいました。

その後、10歳でプログラミングの勉強を始め、わずか12歳にして国際的なプログラミングのコンテストで最優秀賞を受賞。今は、高校生活とCEOを両立する日々を送っています。

社員は、山内さんをはじめ男性4人。LINEに勤めていた韓国人の38歳に、元ベンチャー経営者の28歳、そして、外資系のコンサルタント会社に勤めていた28歳と多彩なメンバーがそろいます。

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Q:起業を決断したきっかけは?

山内さん:中学生のとき、ベンチャー企業のインターンに参加しているうちに、ブロックチェーンや仮想通貨の技術が出始めてきて、これまでにない新しい銀行業をつくりたいと思うようになりました。

仮想通貨を管理するウォレットのサービスを作ったら、大手のカード会社と提携する話が持ち上がって、それなら会社を作らなきゃと。

山内さんは、去年、買い物の支払いができるスマートフォンのアプリを開発。自分のクレジットカードをスマホで撮影するだけで支払いができるという独自のサービスです。

ほかの多くの電子マネーと違って、支払いを受ける側の店や個人は、専用の端末を用意する必要がありません。今後は、iPhoneの「アップルペイ」や中国の「ウィーチャットペイ」などにも対応できるようにして、利便性を高める計画です。現金文化が根強い日本に、キャッシュレスを根づかせる起爆剤になろうと意気込みます。

山内さん:キャッシュレスをはじめ、世界から日本が遅れていることはよく耳にしますが、東京のGDPはいまだに世界でトップクラス。日々、やり取りされる商取引の量も多く、圧倒的なポテンシャルがあるので、決済・金融の領域で戦いたいと思いました。

複雑な金融をシンプルにしたいという強い思いがあります。外国人旅行客が日本に来て、日本円に換金してからお金を払うのはステップが多く、機会の損失になるおそれがあります。また、現金はモノなので、保管や移動にはコストがかかるため、キャッシュレスはマクロ的にもメリットがあります。

われわれは金融のバックグラウンドは持っていませんが、開発能力はあるので、それを市場に提供していきたいです。

2年以内に海外での事業展開を目指す山内さん。来年、高校を卒業しますが、大学へ進学するかどうかは決めていないと言います。

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18歳が変える働き方

東京・渋谷のシェアオフィスを拠点に、社員9人のベンチャー企業「space look」を経営する谷口怜央さんは18歳。1日限定のアルバイトを探す飲食店と学生をつなげるアプリのサービスを展開しています。

契約からバイト代の振り込みまで、スマホで完結する手軽さが人気を集め、サービス開始から3か月で数百の飲食店が導入。7000人を超える学生が利用しているということです。

谷口さんは去年、高校を休学して、17歳で起業しました。

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Q:なぜ、このアプリを開発したのですか?

谷口さん:人の働き方を変えることをやってみたかったので、仕事の入り口であるアルバイトに目をつけました。ツイッターを見ると、毎秒、誰かが、「いまヒマ」とか「バイトしたい」とつぶやいています。

人手不足だと騒いでいるけど、労働のロスはまだまだたくさんある。好きなときに好きなことができるような世界観を作っていきたいです。

Q:あなたの会社のサービスで、どのような課題を解決したいですか?

谷口さん:今までは求人誌などで、企業側が一方的に情報を提供していましたが、仕事をマッチングさせるプラットフォームを作ることで、誰がどんな仕事の経験があるのかというデータが可視化されます。データを集めることで、その人にとっての最適な仕事を柔軟に振り分けられるようになり、飲食店の人手不足も解決できると考えています。

オフィスで寝泊まりし、自分や社員に肩書をつけずに、フラットな職場を目指している谷口さん。大手の人材派遣会社が担ってきた役割をテクノロジーの力で代替するサービスで、組織や時間に縛られない働き方を社会に提供することを目標にしています。

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変わる社長像

マイクロソフトを創業したビル・ゲイツや、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグは、ともに19歳で初めて事業を立ち上げ、起業家の道を歩み始めました。

これからの社会やビジネスを大きく変えるであろうAI=人工知能の分野では、20代の若い研究者やエンジニアが中心となって、目まぐるしいスピードで技術を進化させています。

高い吸収力と斬新なアイデアで、革新的なサービスの実現と社会の変革を目指す10代の経営者が、日本でも躍動しはじめています。

野上 大輔
経済部記者
野上 大輔
平成22年入局
横浜市出身
金沢局を経て
現在、情報通信業界を担当