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スーパー海藻 アカモクが被災地復興に

ネバネバしていて、健康によい食べ物といえば何でしょう。渚の妖精?がオススメする海の食材なんだそうですが、知っています?。
答えは「アカモク」。「ぎばさ」と呼ぶ地域もあります。どこでも採れる海藻ですが、栄養価が高いスーパーフードとして注目され、東日本大震災の被災地の復興にもひと役買っているといいます。(仙台放送局記者 鈴木慎一)

締めにどうぞ 「アカモク丼」

東北の食材を売りにした東京・赤坂の飲食店「トレジオン」。締めの1品として人気なのが、ネバネバの丼。アカモクを刻んで、しょうゆとゴマ油で味付けした「アカモク丼」です。

店の店長は「最初は、このねばねばしているのは何だろう? という感じなのですが、食べると『すごくおいしい』と喜んでくれるお客さんが多いです。アカモク目当てのリピーターも増えています」と話していました。

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長年 じゃまものでした

アカモクは、北海道東部を除くと、全国の沿岸のそこかしこに自生している海藻です。秋田県では「ぎばさ」と呼ばれ、刻んでしょうゆをかけたり、みそ汁に入れたりして食べていました。

しかし、ほかの多くの地域では、見向きもされていませんでした。というよりも漁船のスクリューにからまることが多いため「じゃまモク」と呼んで、やっかいもの扱いでした。

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実はスーパーフードでした!

そんなアカモクが、どうして、急に人気になったのか。

最近の研究で、健康によいとされる成分が豊富に含まれることがわかってきたためです。海藻の研究を続けている、北海道大学の宮下和夫教授によると、アカモクに含まれる「フコキサンチン」と呼ばれる成分が、内臓脂肪を減らしたり、高血糖の人の血糖値を下げたりする効果があるというのです。

フコキサンチンは、ほかの海藻にも含まれますが、アカモクに含まれる量は、ワカメの2倍以上、ガゴメ昆布の6倍以上と突出しています。

テレビの情報番組などで、栄養価の高い自然の食材 スーパーフードの1つとして紹介され、邪魔者から人気者へと生まれ変わったのです。

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被災地の復興にも役立ちたい

アカモクは、東日本大震災で被害を受けた三陸沿岸の復興を支える海藻にもなっています。

宮城県塩釜市の水産加工会社「シーフーズあかま」は、震災後、本格的にアカモクの出荷を始めました。会社は、主にワカメの加工品を出荷していましたが、養殖施設や漁船が流されてしまいました。この先どうしようか、社長の赤間俊介さんは、考えたすえ、注目され始めたアカモクに経営の軸足を移すことにしたのです。

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赤間さんは、同じく震災で被害を受けた岩手県山田町の水産加工業の仲間と連携し、共通のおしゃれなパッケージを開発して、各地の商談会に共同で出品。アカモクのPRを続けてきました。

その結果、出荷量は、年々増え続けています。赤間さんの会社の売り上げは、震災直後の2倍、震災前を30%上回るようになったといいます。

「アカモクの生産は、注文に追いつかない状況です。いずれ大きな工場を建てることを考えなくてはならないかも」とうれしそうに話していました。

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アカモクは、被災した漁業者の助けにもなっています。三陸沿岸では、かきの養殖が盛んですが、津波で、かきの養殖施設も大きな被害を受けました。そんな中で、そこかしこに自生しているアカモクを採れば、赤間さんの会社で買い取ってもらえるとあって、漁業者の貴重な収入源になったのです。

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渚の妖精もオススメしてます

人気のアカモク、別名ぎばさ。知名度をさらにあげようと、キャラクターも生まれました。「渚の妖精ぎばさちゃん」だそうです。赤間さんの地元の知人が生み出しました。

赤間さんの会社の商品にも、ぎばさちゃんのシールが貼られ、PRにひと役買っています。アカモクは、海の中では褐色ですが、ゆでると、きれいな緑色になります。ぎばさちゃんの髪の毛は、色や形が、アカモクそっくり。ふだんは赤っぽいのですが、元気がいいと、緑色に変わります。

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決めぜりふは「ねばぎば!」。「ねばねばする、ぎばさ」と「ネバー・ギブアップ」をかけ、復興を決して諦めないという思いを込めているんだそうです。

渚の妖精もおすすめするアカモクは、最近、うどんに練り込んで商品化されるなど、売り方も多彩になっています。また、和食だけでなく、イタリアンなど洋食にも使われ始めています。

「じゃまもの」から「スーパーフード」に。日本の食卓にどれだけ広がり、被災地の復興を後押ししてくれるでしょうか。楽しみです。

鈴木 慎一
仙台放送局記者
鈴木慎一
昭和63年入局
国際部、北京支局などをへて仙台局
現在 県政・農林水産業を担当