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もしかして 消費は上向き?

1年で最もデパートに買い物客が訪れる日。それは年の初めの「初売りの日」です。新年早々、朝早くから長蛇の列ができ、開店と同時に繰り広げられる福袋の争奪戦は、まさに日本の正月の風物詩。多くのデパートでは、初売りに続いて冬のセールも開催し、1月の販売動向は、その年の消費の行方を占うものとして注目されています。
そして、ことし、デパートの売り場からは「ここ数年とは明らかに違う手応え」が聞かれます。長らく低迷が続いてきた個人消費ですが、上向きの兆しが出てきたのかもしれません。
(経済部記者 加藤ニール)

初売り=売り上げ増加

元日の朝7時。西武池袋本店には、開店まで2時間半も前にもかかわらず、すでに大勢の買い物客が集まり、デパートを囲むように長蛇の列ができていました。

お目当ての福袋のため、大晦日から並び始めたという人もいて、午前9時半の開店と同時に売り場は熱気に包まれ、15万個用意したという福袋は、初日にほぼ完売。店内は外国人旅行者の姿も多く、化粧品・子ども服・婦人服の福袋が人気を集めていました。

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日本の福袋は海外でも知られるようになり、福袋目当てでこの時期に日本を訪れるリピーターも増えているということで、この店では元日の外国人向けの販売は去年と比べて4割も増加しました。

また、2018年にちなんだ2018万円のルビーのアクセサリーの福袋が売れたほか、宝飾品売り場では、600万円余りのペンダントや300万を超える高級時計なども、例年よりも多く売れたと言います。

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西武池袋本店での元日の売り上げは去年より5%増えました。また、大丸と松坂屋のJ.フロント リテイリングでは、今月2日・3日の売り上げが1.2%増えたほか、エイチ・ツー・オー リテイリングでも、旗艦店の阪急本店で2日・3日の売り上げが10%増加するなど、デパート各社の初売りの売り上げは軒並み増加傾向にあります。

セールなのに定価商品が売れている!

初売りに続いて、今月いっぱい行われる冬物の衣料品などのセール。この冬のセールの現場でも、例年に見られなかった変化が起きています。

セールといえば値引き商品が主役のはずですが、セール対象外の定価で販売されている商品の売れ行きが好調だというのです。売れ筋は、明るい色合いで春先まで着ることができるコート。店頭に並んだばかりで、色の種類が豊富で「お気に入りの色があるうちに」と買い求めていく人が多いというのです。

高島屋では、今月2日・3日の婦人服売り上げのうち、セール対象のものは去年と比べて7%減った一方、定価販売の商品が5%増えました。担当者は「以前のセールは、自分の気に入った商品でなくても価格が安いから買う人が多かった。しかし、今の消費者は、無駄なものは一切買わない。逆に必要なものやほしいものなら、値段にとらわれず高くても買うという傾向がより強まっている」と話していました。

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売れ筋の「色」も変化!

もう1つのポイントは「色」です。売れる服の色は、景気を示すとも言われています。景気がよくないときは黒・グレー・ベージュ、景気がよいときは青・黄・ピンクなどカラフルなものと言われています。

これまでは、一着で仕事からプライベートまで着回すことができる黒・グレーなどの落ち着いた色が売れ筋だったということですが、今シーズンは淡い青やピンクなどパステル系のカラフルな色合いのものに売れ筋が変化しているといいます。

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いよいよお父さんたちも!

さらに注目すべき変化は、紳士服売り場にあります。紳士服の売れ行きも、景気を図るバロメーターの1つとされています。お父さんの服は、景気が落ち込むと真っ先に節約の対象となる一方、景気がよくなる局面では最後に売り上げが伸びるとされています。

松屋銀座では、ことしの初売りでは、紳士服・紳士用品の売り場が家族連れなどでにぎわいを見せ、10万円ほどするコートや3万円台の本革のカバンなどが人気を集め、売り上げは去年より5%増えたといいます。

買い物客の男性は「コートを買うのは数年ぶりで、あまり買わないので少し高めのものを買いたい。最近は、少し財布のひもも緩みがちになってきたと感じる」と話していました。

長い冬が続いていたお父さんたちの消費にも、ようやく春の兆しが見えてきた感があります。

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なるか?! 景気の好循環

こうしてデパートの初売りの現場を見るかぎり、消費が上向いている兆候が出ていることは間違いなさそうです。

「この20年でいちばん、景気がよくなりそうだと感じている」と話すデパートの経営トップもいます。その一方で、スーパーなどでは食品や日用品の値下げの動きが相次ぐなど、日常の暮らしでは根強い節約志向が続いているのも現実です。

日本のGDP=国内総生産の半分以上を占める個人消費。ことしはその個人消費が本格的に上向き、景気に新たな好循環を生み出すことができるのか、まさに正念場を迎えています。

加藤ニール
経済部記者
加藤ニール
平成22年入局
静岡局 大阪局をへて経済部
現在、流通業界を担当