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脱・昭和! コインランドリー革命

コインランドリーに、皆さんはどんな印象を持っていますか? 銭湯の脱衣所、薄暗い雑居ビルの1階…。そんなどこかくたびれたイメージは、昭和の“遠ざかる記憶”になっていくのかもしれません。

実は、コインランドリーの数は、この10年余りで30%も増加。おしゃれなカフェや、人工の岩壁をよじ登るボルダリングの設備がある店舗など多様化も進んでいます。新しいコインランドリーの世界をのぞいてみましょう!
(経済部記者 茂木里美)

本格コーヒーを1杯

若者でにぎわう東京のJR目黒駅から歩いて10分ほどの住宅地に、ことし7月、コインランドリーがオープンしました。

店内には明るい壁紙が貼られ、照明はシャンデリア。一角にはカフェが併設されていて、洗濯が終わるのを待つ間、本格的なコーヒーやジュースを有料で楽しむことができます。なかには、赤ちゃんを連れた母親たちの姿も。コインランドリーはママ友の社交の場にもなっています。

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この店舗を運営する藤栄の松延友記プロデューサーは「洗濯が終わるまでに30分から1時間はかかる。その時間をゆっくり過ごしてもらえたらと考えた。コインランドリーとカフェのどちらも利用していただくことで、経営にもいい影響があります」と話していました。

来店していた30代の女性は「コインランドリーというと、薄暗くてちょっと行きにくいイメージがありましたが、ここはきれいで明るくて、女性も入りやすいです」と話していました。

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待ち時間を有効に

こうした新しい“なにか”をプラスしたコインランドリーが、各地に増えています。

東京・渋谷区にオープンしたのは、ペットの体を洗うことができるシャンプースペースを併設した店舗。「洗う」という共通した要素を結びつけて生まれたアイデアです。

一方、川崎市には、若い世代を中心に人気となっている人工の岩壁をよじ登るボルダリングの施設のあるコインランドリーも登場。洗濯につきものの「待ち時間」を有効に使えるようにして、店舗の魅力を高めようと、各社の知恵比べが続いています。

業務用洗濯機も手がける家電メーカー アクアの日本代表を務める吉田庸樹さんは「コインランドリーに行くと、待ち時間もあって1時間ほどかかる。その時間をどう使うか、そこに大きなビジネスのチャンスが生まれている」と分析しています。

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多様化のワケは?

このように、店舗の多様化が進んでいる背景には、コインランドリーを利用したいという女性が増えていることがあります。では、なぜ今、コインランドリーの需要が高まっているのでしょうか?

アクアによりますと、まず、共働き世帯の増加があげられます。外で働く女性が増えるのに伴って、家事の負担を少しでも減らしたいというわけです。また、自宅では洗うことが難しい大きなものを洗いたいというニーズもあります。

花粉やPM2.5への対策として、布団や毛布もしっかり洗いたいという人が増えているということです。さらに、清潔志向の高まりで、クッションやカーペットなど、とにかく洗えるものはすべて洗いたいという人も増えているそうです。

店舗急増 異業種から参入も

こうした“追い風”を受けて、コインランドリーの数は急増。国内では、2003年の約1万3000店から、おととしには1万7500店と、12年間で30%以上も増加しているということです。

異業種から新規参入する動きも出始めています。業務用洗濯機メーカーのトーセイは9月、東京・中野区に初めての直営店をオープンしました。スタイリッシュな内装にこだわり、待ち時間には店内で仕事ができるようにコンセントも配備。

営業本部の高橋岳彦さんは「曜日や時間に関係なく、コンスタントに多くの人に利用してもらっている」と手応えを感じています。

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スマホでチェックむだ足なし!

ITを活用して画期的なサービスを実現しようという動きは、コインランドリーも例外ではありません。

アクアが提供しているサービスは、洗濯機1台1台がネットに接続され、利用者はスマートフォンやパソコンで店舗の空き状況がわかるというもの。さらに、12月には洗濯機を“遠隔操作”できるサービスも開始。利用者は洗濯物の盗難を防ぐため、スマホでロックをかけることができ、店の経営者は、客の入りが悪い日に急きょ値下げをするなど、より柔軟なサービスが可能になります。

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斬新なアイデアで暮らしを豊かに

不動産会社など異業種からの参入も相次ぎ、さながら戦国時代の様相を呈するコインランドリー業界。電子マネーで支払いができる店舗も出始めています。市場が拡大していく中で、家事の負担軽減はもちろんのこと、退屈な待ち時間を楽しい時間に変えて、暮らしを豊かにするアイデアが次々と登場することを期待したいと思います。

茂木里美
経済部記者
茂木里美
フリーペーパーの編集者をへて、NHKに入局。
盛岡局などをへて、現在電機業界を担当。