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どうして?“アニメキャラ”の謎

左側の画像から、ブロンドヘアーの女性開発者、妖精、女性社員、仲よし姉妹ーーーこれらのアニメキャラクターの共通点がわかりますか?
実はすべて、「クラウドサービス」と呼ばれる事業を手がける会社の公認キャラクターなんです。
一般の消費者よりも法人を顧客とすることの多い「クラウドサービス」の会社が、なぜ競い合うかのように、アニメキャラクターを作っているのでしょうか?その真相に迫ります。(経済部 木下健)

縁の下の力持ち

「クラウドサービス」は、大量のデータやソフトウエアを、企業のサーバーやパソコンに保存しなくても、ネットワーク経由で利用できるものです。
起業してまもないベンチャー企業にとっては、自前でデータセンターを作らなくても、膨大なデータを扱うことができます。クラウドサービスは、技術やサービスの革新を支える縁の下の力持ちといえる存在です。

そんなクラウドサービスを手がける会社が、こぞって、自社のアニメキャラクターを作成し、前面に打ち出しています。 どんなキャラクターたちなのか、まずは見てみましょう。

クラウドサービスを手がける「さくらインターネット」のキャラクターは「桜葉愛」。

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「2次元の社員の募集を始めた」というエープリルフールの告知の中で「先輩社員」という設定で生まれました。首から社員証をぶら下げ、ジャケットはコーポレートカラーの桜色。ステッカーやカレンダーを、技術者向けのイベントで配ったところ、あっという間になくなってしまう人気だったということです。

親しみやすさを

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「GMOインターネット」のキャラクターは「美雲あんず」。一般から公募した500以上の作品の中から選ばれたキャラクターをもとに完成しました。人気の声優を起用して、オリジナルのアニメ作品まで作る力の入れようです。
その後、いとこの「美雲このは」も誕生。7月には専用サイトを立ち上げ、グッズの販売を始めました。ツイッターのフォロワーは1万3000人を超えています。

クラウド事業の責任者である児玉公宏さんは「キャラクターの存在によって、クラウドサービスに対する親しみやすさが増したと思う」と、その効果を語ります。 キャラクターを通じて、まずはクラウドという目に見えないサービスに親しみをもってもらおうというわけです。その手段として、キャラクターを活用しようと考えた背景には、IT業界の“巨人”の存在がありました。

難しい技術を身近に

それは、マイクロソフトです。6年前の2011年、アメリカの本社は、クラウドサービスをはじめ、まだなじみの薄い技術をわかりやすく伝えるために、アメコミ風のキャラクターの漫画を作りました。

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さらに、アニメ先進国の日本では、それにふさわしいキャラクターを作るべきだと考え、この年、自社のアニメキャラクター「クラウディア窓辺」が誕生します。名前は「クラウド」と、主力ソフトの「ウィンドウズ(=窓)」をもじって作りました。

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初代のウィンドウズが発売された1985年に生まれ、クラウドサービスの開発者の卵という設定です。クラウドサービスやソフトのパッケージ、使い方を教えるマニュアル本など、さまざまな場所に顔を出し、多くの固定ファンを抱えています。

日本マイクロソフトは「これからますます重要になるクラウドの技術や可能性を理解してもらうことが大切だ」と話しています。

サービスを伝える 技術者の士気もUP

クラウドサービスを身近に感じてもらおうという各社のキャラクター。設定が細かいことも特徴です。

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「IDCフロンティア」が、ことし5月に導入したキャラクター「井出倉クララ&ティアラ」の姉妹も、設定が凝っています。

生みの親である広報担当の谷口早苗さんは「姉のティアラは、データセンターのキャラ。データを守ってくれるしっかり者のイメージ。妹のクララは、クラウドのキャラ。ほんわか優しい中学生で、姉(データセンター)に守られ、のびのび育っているという設定です。会社のサービスを具体的にイメージして考えた」と話しています。

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さらに、キャラクターの作成は、自社の技術者の要望もあったといいます。技術者には、アニメ好きが多く、彼らの意見も取り入れながら設定を決めていくことで、技術者の士気の向上にもつながっているということです。

キャラクターも競争

調査会社の「MM総研」によりますと、国内のクラウドサービスの市場規模は、2015年度に1兆円を突破。企業が既存のシステムをクラウドに移行する動きは今後も強まり、来年度には2兆円、2020年度には3兆円を超えると予測しています。

クラウドサービスを身近に感じてもらおうと、各社が相次いで導入するアニメキャラクター。もちろん、最大の狙いは自社のサービスを選んでもらうことです。魅力的なキャラクターを作り、より多くのファンを生んで、選ばれる会社になろうという競争も始まっているようです。
技術革新を支える裏方=クラウドサービスをもり立てるキャラクター。今後の動向にも注目していきたいと思います。

木下健
経済部
木下健 記者
平成20年入局 さいたま局、
山口局岩国報道室などを経て
現在、情報通信業界を担当