ニュース画像

ビジネス
特集
海外で人気!オブラートの新展開

「オブラートに包んだ言い方」。
相手を強く刺激しないように、遠回しに発言する場合を指す慣用句で、実際に使う方も多いかもしれません。ところで、この「オブラート」。何かご存じですか?最近は見かけなくなりましたが、薬を包んで飲み込むためなどに使われる薄い膜状のものです。すっかり影が薄くなったオブラート。実はいま、海外で人気を集めているんです。(名古屋局 浅岡理紗リポーター)

存在感なし?!オブラート

ニュース画像

オブラートは、お菓子を包んだり、苦みのある粉薬を包んで飲んだりするためによく使われていました。しかし、粉薬が減って錠剤の薬が増えたことで、最近ではあまり見かけなくなりました。

若い世代ほどなじみがないようで、街でオブラートを見せて質問してみても、「あぶらとり紙」とか「のり?」などという答えが返ってきました。
その薄い形状のみならず、国内では存在すら消え入りそうなオブラート。
しかし最近、海外で開催された日本食の商談会などでは、食品の仕入れ担当者から注目が集まっているのです。

それは思いつきから始まった

ニュース画像

愛知県新城市にあるオブラートの会社は、現在、国内で3社まで減ってしまったオブラート製造会社の1つで、国内シェアの7割を占めています。
この会社を経営する4代目社長の瀧川紀幸さん。近年、国内でオブラートの利用が減り、売れ行きの伸び悩みが経営課題でした。そこで、目を向けたのが海外市場でした。

ニュース画像

おととし11月、瀧川さんは新たなマーケットを開拓しようと海外市場の調査に出向きました。訪れたのは、漢方薬をのむ人が多いシンガポール。オブラートのニーズがきっとあるに違いないと考えたのです。しかし、現地で分かったのは、漢方薬を「煎じて飲む」ケースが多いと言うことでした。

薬を煮出して飲むことを知って焦った瀧川さん。そこで苦し紛れに取り出したのが食紅のペンでした。オブラートに食紅を使ったペンで絵を描き、食べ物に貼ってデコレーションすることを提案したのです。もちろん味は変わらず、食感を邪魔することもありません。この思いつきがシンガポールで受け入れられたのです。

ニュース画像

瀧川さんは「オブラートの使い道がほかにないか常々考えていたときに、食べられるものとして、何かできないかと思いついたのが始まりです。シンガポールの人に『食べられるものに食べられるインクで描きましょう』と話したら、新しい物好きのシンガポール人が『それは非常によい!』ということで、そこから偶然に始まりました」と話しています。

オブラートの技術革新

瀧川さんは、専用のオブラートも開発しました。これまでのものは厚さ0.01ミリだったので、ペンで描くと溶けてしまうことがありました。このため、デンプンと水の配合や乾燥させるスピードを変えるなど改良を加えて、オブラートの厚さを0.02ミリ以上にしました。
さらに、シンガポールの象徴ともなっている「マーライオン」などの絵柄を、あらかじめオブラートにプリントして、デコレーションしやすいように工夫しました。 旧正月に使えるように、めでたい言葉をプリントしたオブラートはヒット商品になりました。
去年10月に開催された日本の食文化をPRするイベントでも注目を集め、現地のヤムチャチェーンからは1万7000枚の注文がありました。

ニュース画像

広がるオブラートの用途

シンガポールでは、オブラートを使ってアニメのキャラクターなどを描いた「キャラ弁」をつくる人も増え始めました。水分があまりない食品では、オブラートは5時間から6時間はもちます。このため、弁当にも向いているとして新たに利用する人が広がっているのです。現地の主婦や料理研究家がブログやSNSで発信したことも後押ししました。

ニュース画像

瀧川さんは「ホームパーティーなどで手軽に使ってもらえれば非常にありがたいし、食卓で笑顔があふれる一助になればいいと思います。できれば日本でもそのようなシーンが見ることができればうれしいです」と話していて、日本でも、ことしから絵を描ける専用のオブラートや、絵柄をプリントしたオブラートを販売したい考えです。

海外で活用が広がるオブラート。国内でも人気復活となるか、ことしの展開が注目されます。

浅岡理紗
名古屋局
浅岡理紗 リポーター