土砂崩れで亡くなった3人を知る人は

今月7月12日、松山市で起きた土砂崩れで亡くなった49歳の男性の友人がNHKの取材に応じ「穏やかな人だった。悲しくて信じられない」などと心境を語りました。
今月12日の早朝に発生した土砂崩れでは、松山市緑町の
住宅街に土砂が押し寄せ、巻き込まれた木造住宅に住む平岡啓吾さん(90)と妻の春枝さん(87)、それに息子の謙次さん(49)の一家3人が死亡しました。このうち、謙次さんの友人の大西英之さん(45)がNHKの取材に応じ、心境を語りました。大西さんは20年ほど前からバスケットボールの社会人サークルなどを通じて交流があり、謙次さんは穏やかで明るい性格で、サークルのメンバーからも親しまれていたということです。大西さんは人柄について「聞き上手で相手の話に対して『そうなんですね』とうなずいてくれる人でした。いつも機嫌がよくて腹を立てることもなく、みんなから愛されていました」と話していました。謙次さんはふだんから両親を大事にしていて、3か月ほど前、最後に会ったときも「両親に頼まれて買い物をしている」などといつもと変わらない笑顔を見せていたということです。大西さんは平岡さん一家の自宅にもたびたび訪れていて、春枝さんと顔を合わせることも多く、にこやかで人のよさそうな表情が印象に残っているといいます。土砂崩れの発生から3日となる15日、一家が犠牲となった現場を訪れ、手を合わせるなどして、3人をしのびました。大西さんは「よく通っていた家がこのような状態になって、悲しいです。今でも家から出てきてくれそうな気がします。まだ一緒に話したかったです。悲しく
信じられない思いです」と話していました。近くに住む人によりますと父親の啓吾さんは、穏やかな性格で外で会うたびにあいさつしてくれる、律儀な人だったということです。また、母親の春枝さんは、物静かで謙虚な性格だったということです。長年、俳句を趣味としていて、愛好家でつくる団体に所属し、詠んだ句が雑誌に掲載されるほどの腕前だったということです。ただ、ここ数年ほどは2人とも外出する姿はあまり見られず、自宅で息子の謙次さんが介護していたということです。
平岡さん一家がよく買い物をしていたという自宅近くにある青果店の店主がNHKの取材に応じました。店主の男性によりますと、以前は、春枝さんが毎日のように訪れていましたが、2、3年ほど前からは足が不自由になった春枝さんに代わって、息子の謙次さんが3人分の弁当や野菜を
買いに来るようになったということです。男性は「このような結果になりとても残念に思います。息子さんは、『ありがとうございます』などと、しっかりあいさつして、感じのよい人でした」と話していました。