西日本豪雨の後 愛媛県内の浸水リスク区域で人口増も

6年前の西日本豪雨で大きな被害をうけた愛媛県内で、浸水リスクのある区域の人口が豪雨の前より増えている場所があることがNHKの分析で分かりました。松山市では1200人余り増えていて、専門家は「全国的にも災害リスク地区で人口が増える傾向があり、開発を抑制する仕組みが必要になってくる」と指摘しています。

愛媛県では6年前の西日本豪雨で川の氾濫や土砂災害などが相次ぎ、災害関連死の6人を含む33人が亡くなり、建物の被害は6600棟余りにのぼりました。
西日本豪雨のあと愛媛県内の浸水リスクのある地域でどれほどの人口変化があるのか、10年から100年に一度の大雨が降った場合の川の氾濫で浸水が想定される区域の人口の変化を独自に分析しました。
分析に使ったのは、5年に一度実施される国勢調査のデータで、愛媛県内の西日本豪雨前の2015年の時点の人口とことし公表された豪雨後の2020年時点の人口を比較しました。
その結果、浸水リスクのある区域の人口は県全体で見るとおよそ1300人減少していた一方、松山市では豪雨の前よりも1200人余り増えていることが分かりました。
愛媛県内では浸水が想定されている地区ではほかにも人口が増えている場所があり、このうち西日本豪雨で大きな被害があった大洲市では浸水のリスクがある区域で最大でおよそ70人、人口が増えている地区もありました。
こうした状況について災害リスクと人口推移の関係に詳しい日本大学危機管理学部の秦康範教授は、「中心市街地で地価が高止まりする中、リスクがあっても地価が安い郊外が若い世代にとっては魅力的で、全国的に災害リスク地区で人口が増えている傾向がある。市町村の間で人口の取り合いが起きている中開発を抑制する仕組みが必要になってくる」と話しています。