愛南町 旧日本海軍の戦闘機「紫電改」展示施設建て替えで調査

国内で唯一、愛南町に現存する、旧日本海軍の戦闘機「紫電改」。展示施設の建て替えが決まり、機体が移設作業に耐えられるか確認するため、保存状況を調べる技術者による調査が現地で行われています。
「紫電改」は太平洋戦争末期、ゼロ戦に代わる戦闘機として開発され、主に松山市の航空部隊に配備されていました。
空中戦の末、愛南町の沖合に沈んだ機体は昭和54年7月に引き揚げられ、県が町内に整備した施設で、国内に現存する唯一の機体として、展示されてきました。
しかし、施設は建設から40年以上たち老朽化が進んでいて、管理する県は建て替えを決めています。
こうした中、紫電改の機体が新しい施設への移設作業に耐えられるか調べるための専門家による調査が、2日から行われています。
4日はおよそ10人の専門の技術者が現地を訪れ、機体の主翼や胴体のジュラルミン製の板を取り外し、骨組み異常がないかなど、念入りに調べていました。
本格的な機体の調査は海から引き揚げられて以来、45年ぶりだということです。
これまでの調査の結果、胴体後部の外板や骨組みなどに、腐食による穴が確認されたということで、県は移設作業が始まる前に補修することを検討しています。
県によりますと、新しい展示施設は、来年度中に今の施設の近くで建設が始まり令和8年度中の完成を目指すということです。
調査を担当した紫電改の製造会社をルーツとする会社の郷田雄志課長は「文化財として補修を行いつつも、オリジナルの部分をできるだけ残し、紫電改を後世に残していきたい」と話していました。
県都市整備課の日野友担当係長は、「多くの人に紫電改について興味を持ってもらうことで、平和を考えるきっかけにしてもらいたい」と話していました。