岡山県のハンセン病療養所で解剖の承諾記録をねつ造か

岡山県のハンセン病療養所で行われていた患者の遺体の解剖を巡って、患者が解剖を承諾したとする記録について療養所が一部抽出して調査したところ、およそ2割は承諾を取ったとされる日に死後の日付が記入されねつ造された可能性があることが分かりました。専門家は「同意がないまま解剖が行われ、患者の人権が守られていなかったのではないか」と指摘しています。

岡山県にある国立ハンセン病療養所「長島愛生園」では過去、入所者の解剖が行われていて、このうち昭和7年から23年にかけては、本人がぼ印を押すなどして解剖を承諾したとされる「剖検願」が見つかっています。この「剖検願」について療養所が昭和7年から8年と昭和20年8月から昭和23年までのもの合わせて175点を抽出して詳しく調べたところ、全体の22%にあたる39点が承諾を取ったとされる日に死後の日付が記入されるなど、ねつ造された可能性があることがわかりました。このほか、死亡当日の日付が29点、亡くなる前日から7日前までの日付が92点でした。記録を調べた長島愛生園の山本典良園長は、記録のねつ造が常態化していた可能性を指摘したうえで、「当時は患者の家族と連絡がつかないケースも多く、医師としては亡くなる直前に本人から承諾を得ることは倫理的に難しかったのではないか」と話しています。一方、長島愛生園の人権擁護委員会の委員長を務める近藤剛弁護士は「患者や家族の同意がないまま解剖が行われ、人権が守られていない状況だったのではないか。なぜこういうことが起こったか検証する必要がある」と指摘しています。