久万高原町の小学校 3年ぶりの入学式で新入生1人迎える

8日は県内の多くの小学校で入学式です。過疎高齢化が進む久万高原町の山あいの小学校では、3年ぶりに入学式が行われ、1人だけの新入生を地域の人たちが温かく迎えました。

久万高原町の山あいにある柳谷小学校は児童がいなかったため、去年1年間、休校していましたが、この春、3年ぶりに新入生を迎えることになりました。
入学式では、新入生の藤岡希さんが担任の先生と一緒に入場し、川本孝校長が「地域の方々、みんなで入学を待ち望んでいました。いろんな活動に挑戦して、学校を大好きになってください」と語りかけました。
そして、この春に移住のために転校してきた5年生の男子児童が、「分からないことは聞いてください。仲良く楽しく学校生活を送りましょう」と呼びかけました。
つづいて教室に移動して、担任の先生から教科書などを受け取って、少し緊張した様子で初めての学級活動を行いました。
式のあと校庭には、住民や幼稚園の先生、それに地元の警察官など地域の人たちが駆けつけ、「ようこそ柳谷小学校へ」と書かれた横断幕を掲げて、久しぶりの新入生を歓迎していました。
藤岡さんは「学校に友達ができてうれしいです。運動を頑張りたいです」と話していました。
県教育委員会によりますと、この春、県内の小学校に入学した新1年生は9400人あまりで、新入生が1人の小学校は13校だということです。

【地域に子どもの声を 活動実る】
久万高原町の柳谷地域では年々、子どもが減少し、去年、在校生がいなくなったため1年間、休校する事態になりました。
地域に子どもの声を取り戻そうと、住民が主体となって、地域を紹介する広告を雑誌に掲載したり、移住体験ツアーを企画したりするなど、移住の促進を進めてきました。
こうした活動もあって、松山市と四国中央市から2世帯が移住し、今年度から小学校にも3人の子どもが転校してきました。
四国中央市から転校してきた5年生の福田正壽さんは「みんなで体育をしたり好きな趣味を一緒にしたりしたいです。希ちゃんが遊ぼうって言ったら、やりたいことをしてあげたいです」と話していました。
新入生の藤岡希さんの父親、藤岡大さんは「学校が再開できてうれしく思います。学校に入っても娘は1人かと思っていたので、転入生のお兄ちゃんができて安心しています」と話していました。
柳谷地域で移住支援などに取り組むNPO法人「TEtoTE」の山本一人さんは「休校になったタイミングで地域のみんなで移住者支援を頑張ろうと取り組みました。地域に子どもたちの声が響いてうれしいです」と話していました。