今治市教委 性被害問題で調査中に退職願いを受理

今治市の小学校を卒業した40代の女性が、「小学生のとき男性教員から性被害を受けた」と訴えている問題で、今治市教育委員会は専門家を交えた調査の実施を決めました。一方、女性が訴え出たあとに男性教員から退職願が出され、教育委員会が受理していたことが新たに分かりました。

市教委は「調査は継続中だったが、性被害が認められず退職願を受けない理由がなかった」としていますが、文部科学省は「調査中であれば、受け取るのは適切ではない」としています。
今治市の公立小学校を卒業した40代の女性は、「小学生のとき担任の男性教員から性被害を受けた」として、ことし6月、今治市教育委員会に調査や処分を求めていました。
これに対し市教委は「男性教員は記憶にないと話し、性被害は確認されなかった」などと女性に説明していました。
21日、市教委の担当者は女性と面会し、今後、専門家を交えた調査や同級生など周囲への聞き取りを実施することを決めたと報告しました。
一方、市教委は女性の被害の申し出のあとに、男性教員が体調不良を理由に提出した退職願を受け取り、愛媛県教育委員会も受理していたことが新たに分かりました。
今治市教育委員会は、「調査は継続中だったが退職願が出された段階で、性被害の事実は認められず、受けない理由がなかった」と話しています。
一方、愛媛県教育委員会は「市教委から『調査は完了した』という報告を受けたので、退職願を受理した」と話していて、調査の途中で退職を認めたかどうか、市教委と県教委の説明に食い違いがあります。
文部科学省は「調査中に退職願を受理したのであれば、性被害を防止するという法律の趣旨に照らして、適切ではない」と話しています。
学校現場の性被害に詳しい「スクール・セクシュアルハラスメント防止・全国ネットワーク」の亀井明子代表は「退職して公務員ではなくなり、調査の呼び出しにも応じる必要はなくなる。追及を逃れようとする逃げ得を許してはならず、教育委員会の対応は明らかに不適切だ」と指摘しています。
今治市教育委員会が依願退職を認めていたことについて、訴えていた女性は「あまりのショックで何も考えられなくなった。教育委員会は、いままで『できる限りのことをして寄り添っていきます』と言ってきたのに、真面目に調査する気はなかったのだと感じた。退職による逃げ得を許さず、徹底的に事実解明に努めてほしい」と話していました。