松山市役所 人事課に相談のセクハラ訴え適正に調査せず

松山市役所の人事課に「複数の女性職員が上司の男性からセクハラを受けた」という相談が寄せられたにも関わらず、男性へのヒアリングなど国が示す適正な調査を実施していなかったことがNHKの取材で分かりました。市は「男性への指導はしており、対応は適切だった」などと説明しています。

松山市の複数の関係者によりますと、ことし2月、市の人事課に「複数の女性職員が上司の男性からセクハラを受けた」という相談が寄せられたということです。具体的には、上司にあたる産業経済部の60代の男性から性的な内容のLINEを繰り返し送られたり、飲み会で体を触られたりしたという訴えだったということです。NHKが入手した男性が女性に送ったLINEには「公私共に好きだ」とか、「ストーカーになるよ」といったメッセージがつづられていました。相談を受けた人事課は、当時、一部の女性にしか聞き取りを行わず、男性へのヒアリングなど事実確認の詳しい調査を実施していなかったということです。
職場でのセクハラ対応を示した国のガイドラインでは、セクハラの相談があった場合、当事者双方からのヒアリングなどを行って、速やかに事実確認を実施することが適正だとしています。NHKの取材に対し松山市の人事課は、男性へのヒアリングを実施していないと認めたうえで、「懲戒処分や内部処分はしていないが、上席が男性に指導した」などと説明しています。また、一連の対応については「女性の希望もあり状況を注視していた。対応は適切だった」と説明しています。全国の自治体で公務員へのハラスメント防止の研修を行う「公務員研修協会」の高嶋直人代表理事は、「セクハラの定義に沿って判断すると、十二分にセクハラにあたると判断できるケースだ」と指摘したうえで、松山市の対応について「第2第3の被害者を生まないことが大切で、関係者への十分な聞き取りや、職場でのアンケートの実施など組織が主体的に確認や調査を行うべきだ。安全な環境で勤務させるという義務を果たしているとは言いがたく、状況を注視した市の対応に正当性はない」と指摘しています。