樹木で地震火災被害を約3割減

100年前の関東大震災では、地震で起きた火災で甚大な被害が出ました。その後の研究で、樹木が火災の広がりを防ぐことが分かってきていて、専門家が、松山市の住宅地のデータでシミュレーションしたところ、街路樹や生け垣などがあることで平均して3割程度被害を減らせる可能性があることが明らかになりました。

大正12年9月1日に起きた関東大震災では、死者・行方不明者10万人余りのうち、およそ9割が、市街地の複数の場所で発生した火災が燃え広がったことで犠牲になりました。
その後の防災研究などで、水分を含んだ樹木が火災の広がりを防ぐことが分かってきていて、愛媛大学防災情報研究センターの二神透准教授は、現在の松山市の住宅密集地の地図データなどを使ってどれほど樹木の効果があるのかシミュレーションしました。
その結果、風速5メートルの風が吹いている条件で火災が発生した場合、街路樹や住宅の生け垣などがあることで、樹木が1本もないと仮定した場合と比べて、平均しておよそ3割から4割、焼失する面積を減らせる可能性があることがわかりました。
また、樹木は火災で発生する高温の「ふく射熱」を防ぐことから、避難場所を囲むように植樹されていれば安全の確保につながるということです。
二神准教授は「樹木があることで火災の広がりを防いだり、避難にかけられる時間を増やせたりするので、その効果は非常に大きい。今後は、どのような植え方をすればより安全性が高まるのか、住民と一緒に考えていきたい」と話しています。