新居浜市の公立小学校 児童のいじめの訴え一部調査せず

愛媛県新居浜市の公立小学校の児童が上級生からのいじめ被害を訴えたにもかかわらず、学校が訴えの一部を調査しないまま、「いじめの事実はない」と判断していたことが、NHKの取材で分かりました。専門家は「法律の趣旨に反しており、対応の検証が必要だ」と指摘しています。

いじめの被害を訴えているのは、新居浜市の公立小学校に通う3年生の男子児童です。市教育委員会などによりますと、この児童はことし2月から3月にかけて、当時同じ学校の6年生だった複数の上級生から、校内で悪口を言われたほか、公園で暴力をふるわれけがをしたとして、2つのいじめ被害を親を通じて学校に相談しました。
ところが学校は、校内での悪口について調査をしないまま、「いじめに該当する事実はない」と判断していたことが、NHKの取材で分かりました。
その理由について学校は取材に対して、児童が以前から通院などのため登校する日数が少なかったことなどを挙げ、「校内で上級生と接する機会はなかったと思われた」などと説明しています。
一方、公園での暴力については調査を行い、上級生1人が暴力を認めて謝罪しましたが、被害を訴えている児童への聞き取りは行われませんでした。
市教育委員会は、児童の不登校が30日以上続いたことから、「いじめ防止対策推進法」に基づく「重大事態」と認定し、6月、弁護士などの第三者からなる調査委員会を設けて実態調査を始めました。
いじめ問題に詳しい千葉大学の藤川大祐教授は、「調査もせず学校がいじめはなかったと判断したのは法の趣旨に反しており、不適切というほかない。対応の検証が必要だ」と指摘しています。