松山市一番町の再開発 新計画策定へ

経済状況の悪化を背景に休止している、松山市中心部の一番町周辺の再開発事業について、地元の準備組合は、マンションなどの複合施設を建設する新しい計画をことし9月ごろまでに策定し、改めて事業を進めていくことになりました。

3年前に閉館したホテルなどがある松山市中心部の一番町1丁目と歩行町1丁目の一部では、高層マンションのほか、宿泊施設や商業施設が入った建物を建設する再開発計画が進められていました。
しかし、新型コロナの感染拡大による経済の悪化を背景に、おととし計画は休止されていました。
こうした中、土地や建物の所有者などでつくる準備組合は、先月下旬に開いた総会で、ことし9月ごろまでに新しい計画を策定することを承認し、改めて再開発事業を進めていくことを決めました。
新たな計画では再開発の対象区域はこれまでと同じ地区の広さ0.7ヘクタールで、マンションを含む複合施設を建設し、建物の高さはもとの計画より低い90メートル以下で検討しているということです。
今後、複合施設に入る事業者との契約を経て、周辺住民への説明会を行い、再来年に着工し、5年後から7年後の完成を目指すとしています。
市街地再開発準備組合の二神良昌理事長は「事業が進まず街の景観が損なわれたままではいけない。将来の雇用など市全体の発展につなげていきたい」と話しています。

【松山市一番町周辺の再開発とは】
松山市中心部、一番町などの再開発事業は、4年前に動き出しました。
ホテルや飲食店、それにマンションなどが立ち並ぶこの一帯をめぐっては、建物が老朽化するなど、当時から土地の効率的な利用や防災の面で課題となっていました。
このため、土地や建物の所有者などでつくる市街地再開発準備組合は、地区一帯の再開発を決め、東京の不動産会社など6社による企業グループが事業を担うことになりました。
組合によりますと、この地区には高さ95メートル、地上29階建てのタワーマンションのほか、宿泊施設や商業施設などが入った建物が建設される計画でした。
再開発に伴う高層ビルの建設には、近隣の一部の住民などから懸念の声も出ていましたが、組合や企業グループでは中心市街地の新たな核となるまちづくりに向けて計画を進めてきました。
ところが、おととし、この再開発計画は一転、休止となったのです。
理由について組合は、「昨今の経済状況を鑑みて事業変更を行う」とした上で、新型コロナの感染拡大による経済の悪化が背景にあったと説明しています。
休止を受けて組合では、事業規模の見直しを含め計画の再検討を進める形となり、その行方が注目されていました。

【再開発に新計画 松山市は】
松山市一番町などの再開発事業について、松山市はこれまで「合理的で健全な土地の利用を図る建物の建設を誘導する。広場や都市型住宅などを整備しにぎわいと魅力ある都市空間の形成を図る」とする立場を示してきました。
その上で、市は、新たな再開発の計画が進められていることについて、「市として引き続き事業が円滑に進むよう財政的な支援や技術的な助言を行い、組合を支援していく」とコメントしています。