愛媛県 かんきつ収穫量 全国2位に転落
愛媛県は、令和2年産のかんきつの収穫量が和歌山県を下回り、平成30年産に次いで再び全国2位になったと発表しました。
ただ、産出額は首位を維持していて、県の担当者は、「単価の高い高級柑橘でもうかる農業を進めていきたい」と話しています。
愛媛県は毎年この時期、農林水産省が公表する温州みかんと中晩柑類の収穫量などを合わせて、独自にかんきつの統計を発表しています。
それによりますと、県内の令和2年産のかんきつの収穫量は、温州みかんが11万2500トン、中晩柑類が8万438トンで、合わせて19万2938トンでした。
一方、同じ年の和歌山県産のかんきつの収穫量は、愛媛県産を1万4000トン余り上回る20万7391トンで、愛媛は平成30年産に次いで再び全国2位となりました。
この原因について県は、収穫量の多くを占める温州みかんが愛媛は裏年だったのに対して、和歌山は表年だったほか、愛媛は西日本豪雨からの園地の復旧が完了していないことなどをあげています。
県内のかんきつの収穫量は、統計を取り始めた昭和49年から44年連続で全国1位でしたが、平成30年産は西日本豪雨の影響などで初めて和歌山に抜かれて2位に転落し、令和元年産は1位に返り咲いていました。
ただ、紅まどんなや甘平などを除く産出額でみますと、愛媛は和歌山を11億円上回る367億円で首位を維持しているほか、前回トップを奪われた温州みかんの1キロあたりの市場評価額も、今回は2位の静岡と11円差の299円で、首位の座を奪還しました。
県農産園芸課の真木健司課長は、「収穫量で1位を取ることも大切だが、単価の高い高級柑橘の生産を拡大していくことなどで、もうかる農業を進めていきたい」と話しています。
【みかん農家は】
愛媛のかんきつの収穫量が再び全国2位になったことについて、宇和島市のかんきつ農家の山本計夫さんは、「残念です。やはり愛媛は1位であり続けたい」と話していました。
山本さんがかんきつを栽培している玉津地区は5年前の西日本豪雨で大きな被害を受けました。
園地の復旧状況について山本さんは、「復旧作業は進んでいるが植え替えた苗木が育つには時間がかかる。災害から10年から15年たたないと復旧が完了したとは言えない状況だ」と話しています。
山本さんは作業効率を上げるため、県の補助を受けてかんきつ畑の急な斜面をなだらかにする工事も進めていて、「生産力を上げるには、園地の整備や後継者の育成も必要だ」と話しています。
【和歌山県は】
和歌山県がかんきつの収穫量で全国1位になったことについて、和歌山県果樹園芸課の担当者は、「みかんの産地といえば和歌山県と思ってもらえるよう高品質なみかんの生産に取り組んでいて、表年だったこともあり、1位になれたことは予想通りでうれしいです」としたうえで、「愛媛県には、一刻も早い災害からの復旧を目指していただき、同じ“かんきつ県”どうし、切磋琢磨してこれからも消費の拡大を進めていきたい」と話していました。