米海軍横須賀基地の排水“「PFAS」検出の原因特定は困難”

神奈川県にあるアメリカ海軍横須賀基地の排水から、有害性が指摘されている有機フッ素化合物=PFASが高濃度で検出された問題で、アメリカ軍から説明を受けた防衛省の担当者が10日市に対し、浄化設備の設置後、高濃度の検出はなくなったものの、汚染源の特定は困難だと説明しました。

去年、アメリカ海軍横須賀基地の排水処理施設から、有害性が指摘されている有機フッ素化合物=PFASの一種、PFOSとPFOAが、最大で国の指針値の258倍の濃度で検出されました。
アメリカ軍は排水施設にPFASを吸着するフィルターを設置したうえ、原因を調査していましたが、アメリカ軍から情報提供を受けた防衛省の担当者が10日、横須賀市の上地克明市長と面会しその内容を説明しました。
それによりますと、フィルターの設置後、排水から国の指針値を超える濃度の検出は、なくなったということです。
一方、排水処理施設は基地すべての排水を管理しているため、アメリカ軍は汚染源の特定は困難だとしていて、今後もフィルターを適切に管理する方針だということです。
同様の説明内容はこのあと、アメリカ軍からも市側にあったということです。
横須賀市は「基地内で暮らす人や働く人にとって重要な問題だ。何かあった場合は、遅れなく情報提供を求めたい」としています。

また、去年9月にアメリカ海軍厚木基地の格納庫で「PFAS」を含む泡消火剤が放出された事故についても、神奈川県が10日、アメリカ軍から情報提供を受けた防衛省側の説明を公表しました。

それによりますと、格納庫から放出された「PFAS」を含む泡消火剤はおよそ7000リットルでしたが、どれぐらいの量が基地内を流れる川から調整池に流出したかはわかっていないということです。
また、調整池の水について県と国、在日アメリカ軍が去年10月、採取して分析した結果、国が示す規準値の10倍から18倍の濃度の「PFAS」が検出されていたことも、10日公表されました。
県によりますと、調整池の水はすべて浄化したうえで放流していて、現在は周辺の川などへの影響は出ていないということです。
県は今後、在日アメリカ軍基地で同様の事故があった場合は自治体による立ち入り調査の円滑な実現や、調査結果の早期公表を行うよう国に要請しました。