郵便局に巡回診療所設置 郵便局で本格的な診療は全国初 周南

医師不足が深刻化する中山間地域の医療を確保しようと、周南市の和田地区では、巡回の診療所が郵便局内に設けられることとなり、16日、開所式が開かれました。
周南市によりますと、郵便局で本格的な診療を行うのは、全国で初めてだということです。

周南市の山あいにあり、およそ1000人が暮らす和田地区では、8年前に民間の診療所が無くなって以降、地域に医療機関がない状態が続いていました。
こうしたなか、周南市は、地域の医療を確保しようと、地元の高瀬郵便局の1室に巡回診療所を設ける全国で初めての取り組みを始めました。
16日は、近くの市民センターで開所式が開かれ、藤井市長は、「巡回診療の実現は、日本郵便や県など多くの関係者の願いで、通院の負担が軽減できるほか、健康診断や予防接種が受けられるのでぜひ活用してほしい」とあいさつしました。
この診療所は毎週火曜日に開所し、巡回の医師による対面での診察は月に1回、それ以外は、10キロほど離れた鹿野診療所とオンラインでつないで医師が診察するということです。
地元の70代の男性は、「これまでは別の医療機関に車で20分余りかけて通っていたが、家の近くで診察を受けられるので安心だ」と話していました。

今回、郵便局に設置された診療所は「和田巡回診療所」と呼ばれ、広さが2畳ほどの部屋には、机といす、それにパソコンだけが設置されています。
オンラインによる診療の日は、郵便局の職員がパソコンを操作して医師がいる鹿野診療所や薬局をつなぐことで、診察や服薬指導をサポートするということです。
また、診察によって薬を処方された場合、提携している周南市内の薬局とオンラインでつなぐことで、薬局に行かなくても、翌日には患者の自宅に薬が届けられるのが特徴です。
対面での診察は予約は必要ありませんが、オンラインでの診療は一度は対面での診察を受けたうえで、事前の予約が必要だということです。