宇部市沖の海底炭鉱跡で潜水調査へ 遺骨収集可能か探る

太平洋戦争中に山口県宇部市の海底炭鉱で183人が犠牲になった水没事故をめぐって、遺骨の収集に向けて作業が可能かを探る潜水調査が、7月下旬にも行われることになりました。

宇部市の沖合にある海底炭鉱、「長生炭鉱」では、太平洋戦争中の1942年2月、落盤によって大量の海水が流れ込み、朝鮮半島出身の労働者136人を含む183人が犠牲になりました。
遺体は収容されずに坑道は閉鎖され、今も遺骨が残されたままになっています。
こうした中、国内外の水中洞窟などで調査を行う大阪のダイバーの男性が犠牲者の追悼などを続ける宇部市の市民団体に申し出て、7月25日にも潜水調査を行うことになりました。
今回の調査は、遺骨があるとされる坑道で本格的な収集が可能かを確かめるのが目的で、海面に突き出た炭鉱の排気筒から坑道へ向かうということです。
潜水調査を申し出た伊左治佳孝さんは、「水中に遺骨が残されているのはとても悲しいことなので、私に手伝えることがないか、可能性を探りたい」と話しています。

【市民団体は調査に期待】
犠牲者の追悼などを続ける市民団体、「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」は、27年前に遺族の要望を受けて潜水調査を行ったほか、23年前には韓国のグループによる調査も行われています。
いずれも水の透明度が極めて低いなど調査環境が悪く、遺骨の発見にはつながりませんでした。
市民団体は、今回の潜水調査で利用する船の手配などをすることにしていて、井上洋子共同代表は、「厳しい環境だと思うが、今回の調査が遺骨を収集する手がかりになることを期待しています。遺族のもとへ1日も早く遺骨を返したい」と話しています。
一方、潜水調査とは別に、市民団体は、陸側にある炭鉱の入り口を掘り起こし、そこから遺骨の収集を目指すことも計画していて、7月15日から周辺の草刈りなど準備作業を始める予定です。