子どもたちを交通事故から守る「ゾーン30プラス」

犯罪や事故などから身を守るためのお役立ち情報をお伝えする「安全安心#それっちゃ」。
春から新1年生になった小学生も多いこの時期、子どもたちを交通事故から守る新しい仕組み、「ゾーン30プラス」についてお伝えします。

車の最高速度を30キロに規制した区域のことを「ゾーン30」といいます。
通学路や住宅密集地での事故を防ごうと全国で設置されてきました。
しかし、3年前(令和3年)に千葉県八街市で下校中の児童5人がトラックにはねられ死傷した事故を受けて、物理的な仕組みを新たに加えたのが「ゾーン30プラス」なんです。

この「ゾーン30プラス」は、今月(4月)、山口県でも、山口市の大内小学校近くの通学路に初めて設置されました。

まず、こちらが「ハンプ」と呼ばれる段差を作るための仕組みです。
路面が10センチほど盛り上げてあり、このエリアの制限速度30キロを超えて通過すると、「ドン」という衝撃を感じるようになっています。
30キロ以下で通過すれば、それほど不快感は感じずスムーズに通行できるため、ドライバーはスピードを緩めることになるんです。

次に、「スムーズ横断歩道」という仕組みです。
えんじ色に塗られた横断歩道が10センチほど盛り上がっていて、背の低い子どもでもこの横断歩道を渡ればドライバーが気づきやすいようになっているんです。

このほか、部分的に立てられているオレンジ色のポールは、車どうしがすれ違う際に路側帯にはみ出ないよう防ぐ効果があります。

警察庁によりますと、全国各地にある「スムーズ横断歩道」の場合、設置前と設置後を比べると、制限速度の30キロ超えて通過した車の割合が19%減少した一方、この横断歩道で一時停止、または徐行した車の割合は15%増えたということです。

県警は、今後も各地で増やしていく予定にしてはいるんですが、設置がそう簡単に進まない事情もあります。
まずは費用面です。
仕組みの設置や維持管理の費用は道路管理者が負担することになっているため、公道では多くの場合、自治体が負担することになり財源が限られます。
また、交通量や道路状況に応じて設置できないケースもあり、どの仕組みが適しているのか、十分に検討する必要があります。

具体的な対策も有効ですが、子どもが巻き込まれる交通事故を減らすには、ドライバーが交通ルールを正しく理解し、安全運転を心がけることが大切だと思います。