「重要土地利用規制法」該当区域指定で首相宛に抗議文

安全保障上、重要な土地の利用を規制する法律をめぐって、国は岩国市にあるアメリカ軍岩国基地の周辺を該当区域に指定することを周知しました。
これに指定されると国が土地の所有者の氏名や国籍などを調査できることから、地元住民団体はプライバシーの侵害にあたるなどとして、総理大臣宛に抗議文を送りました。

安全保障上、重要な土地の利用を規制する法律では、基地や原子力発電所などのおおむね1キロの範囲を「注視区域」に指定し、国が土地などの所有者の氏名や国籍などを調査できるほか、特に重要性が高い区域は「特別注視区域」として土地などを売買する際に、国に氏名や国籍などを事前に届け出ることを義務づけています。
この特別注視区域に岩国市のアメリカ軍岩国基地の周辺が指定されることが12日、官報で告示されました。
これについて、地元の2つの住民団体が会見を開いて、岸田総理大臣宛に抗議文を送ったことを明らかにしました。
抗議文では本人の了解なく個人情報を取得するのはプライバシーの侵害にあたることや、土地の売買の際に届け出を強制させるのは財産権の侵害にあたるなどと指摘しています。
住民団体の久米慶典事務局長は「規制がかかることで土地の価値が下がることも予想される。戦争を前提として私たちの権利を制限することに今後も抗議していきたい」と話していました。
今回の告示では岩国市のほか下関市や防府市の自衛隊の基地周辺なども「注視区域」の対象になるということで、5月15日から施行されます。