かんぽ生命保険不適切販売問題 懲戒解雇の元社員の裁判始まる

かんぽ生命の保険の不適切な販売が行われていた問題で、販売を担う日本郵便から懲戒解雇された元社員の男性が、処分は無効だとして未払い賃金の支払いなどを求めた裁判が山口地方裁判所下関支部で始まりました。

日本郵便が販売を担うかんぽ生命の保険をめぐっては、法令や社内ルールに反した不適切な販売が問題になり、日本郵便の社員など3300人余りが懲戒解雇や停職などの処分を受けました。
このうち、県内の郵便局で保険の営業を担当し懲戒解雇された元社員の男性は、十分な調査がなく解雇は無効だとして、日本郵便に未払い賃金などの支払いを求める訴えを起こしました。
あわせて、営業で過剰なノルマが課せられたうえ、当時の上司から「最低な社員」などと怒鳴られるパワーハラスメントを受けて脳出血を起こしたなどとして、およそ200万円の損害賠償も求めています。
19日、山口地方裁判所下関支部で裁判が始まり、元社員の男性は意見陳述のなかで、「収入を断たれ、労働者にとっていわば死刑宣告を受ける事態にさらされた」と述べました。
一方、日本郵便側は答弁書を提出し、解雇には理由があるとして、請求の棄却を求めて争う姿勢を示しました。
裁判のあと、原告側の淺野高宏弁護士は、「原告には解雇前に聞き取りなどなく、ずさんな調査だった。一連の不正問題で批判を受け、とかげの尻尾切りのように末端の職員だけが懲戒解雇されている」と話していました。